神兎 その43 返品は効かないのです!
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
……………………。
無言でルーナ様を見つめている、わたし。
顔も無表情ですね。
その空気に耐えられなかったのか、言葉を継いでいくルーナさまなのです。
『……やっぱり呆れたかい?
こんなヘタレな婚約者で……。』
「ええ、呆れてものも言えないですね。」
『うぐっ。そんなバッサリと切り捨てなくても……。』
ハァー……。
わたしは一つため息をつくと、体ごとルーナ様の方を向き話すのですよ。
「今さら、何を言ってるんですか。
ルーナ様が、デリカシーが無くて、粘着質で、ストーカーっぽくて、軽薄で、ヘタレで、ムッツリスケベで、肝心な時に役に立たない神様だなんてことは、よ〜〜〜っく分かっているのです!」
わたしのひと言ひと言にいちいち反応して、ビクッと体を震わせるルーナ様。
伏せた目のはしには、ちょっぴり涙がキラリ。
フンッ!
いい気味なのですよ!
このわたしを見くびった罰なのです!
「分かっているんだから、今さら呆れたり、嫌ったりなんかしないのですよ?」
ハッとして顔を上げるルーナ様。
「正直……急に自分がかつて殺された婚約者の生まれ変わりだと言われても、何も覚えていないですし、実感が無いのでなんとも言いようがないのですけれど。
それでも、今世で命を助けられ、名前をいただき、眷属にしてもらい、婚約者になったことに変わりはないのです。
それに……わたしのことを思ってくれていることも、ちゃんと分かっているんですからね……?」
うううっ。顔がだんだん熱くなってきたのです。
だが、あと少しだけ我慢!
「……で、ですから!
嫌われようが呆れられようが、きっちりと嫁にしてもらうのですからね!
返品は効かないのです!」
言ったった!
言ってやったのです!
まったくもう!自分で婚約者にしておいて、今さら嫌われるかもなんて余計な心配なのですよ!
軽薄なくせに、妙なところで真面目でヘタレなんですから!
『ミラちゃん……!!』
目がうるうるしているルーナ様。
触れていた手を引き寄せ、またわたしをギュッと抱きしめたのです。
ハイハイ。よしよし。
ルーナ様の背中をポンポンと優しく叩いて、なだめるのです。
まあ気にかけてくれたことは素直に嬉しいですけれども。
もとより、命を助けられた代価に、契約して婚約したわけですから。
今さら細かいことを気にすんな!ってところですかね。
『おひいさまがデレた?』『デレましたね!』『間違いなくデレてますね!』『ツンデレおひいさまも可愛いです!』『照れたおひいさまも!』『よかったですね!主様!』
ちょっとそこっ!うるさいのです!
それに、誰がツンデレか!
『えっ……?まさか自覚なかったの⁈』
ルーナ様まで⁈




