神兎 その40 真の名剣
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
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これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
その後、鍛治神様と細かい打ち合わせをして、発注は終了。
馬鹿でかい図体のエルゾンこと、エルダーファイヤードラゴンゾンビの素材ですからね。
龍鱗の鎧を四人分……いや四匹分と、角や牙でリルとランの武装もお願いして、了承をもらったのですよ。
アンデッド化したドラゴンの素材ですが、魔石と同じく神気で浄化できるとのこと。
むしろ、通常のエルダードラゴンがAランクらしいので、アンデッド化のおかげでSランク素材になったのはラッキーかもしれないですね。
Sランク魔物は、基本的に神々の眷属しかいないらしいし。
わたしの角を使った武器は一応、剣を作ってもらう予定ですが、鹿のような枝分かれした角ですからねぇ。
アルミラージの角から作った角剣のようにまっすぐな直剣にはならないと思うのです。
期待する反面、不安もあるのですよ。
まさか、そのままの形にはしないと思うんですけど……。
ついでですが、鍛治神様には角を切り落とした時に痛かったことを告げて、謝ってもらったのです。
鍛治神様って、基本的には常識人っぽいですけど、こと鍛治のこととなると周りが見えなくなるという、職人にありがちな性格なんですかね。
『さて、それではワシはそろそろ帰らせてもらうとするかの。
早く帰って、作りたいものもあるからのう。』
「鍛治神ヴォルカルフタ様。
わたしだけでなく、大切な家族の分の武具も作っていただけること、感謝するのです。
鍛治神様の作る武具ならば、百人力……いえ、百万の味方を得たも同じ。
きっと、かの女神を討ち取ってみせるのですよ。」
わたしは、居住まいを正して右手を胸に当て、頭を下げて感謝を伝えるのです。
『なんの。これも契約のうちじゃ。
主も、あまり張り詰めすぎんようにの?
硬いだけの剣は折れやすい。
鋭さと粘りを併せ持つものこそが、真の名剣というものよ。』
真の名剣ですか……。
『ヴォルカルフタは、気負いすぎないようにって言ってるのさ。
ミラちゃんは一人で戦うわけでも、家族だけで戦うわけでもない。
僕らが支援するし、眷属たちも助けてくれるからね。
だから気楽に行こうよ!気楽に!
この僕みたいにね!』
いいことを言われた気がするんですけど、最後のひと言がなければねえ……?
ま、たしかにあんまり思い詰めてもいいことはないですよね。
ルーナ様ほどとは言わずとも、リラックスして挑戦したいものです。




