神兎 その36 はぅあ!?いつの間に⁈
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
これからも楽しんでいただけると幸いです。
鼻息も荒く、ひたすらにモフモフしていくわたし。
……来た!
お前を待っていたのですよ!クリーム色の毛玉ちゃん!
ふわぁぁぁぁ……!
なんですか、この名状し難い感触は!
指が毛並みの中に沈んでいく……。
『ちょっとくすぐったいぜ、おひいさま……。』
……貴様っ!
このビジュアルでやんちゃ系女子……だと?
もはや辛抱たまらん!
わたしは毛玉を抱え上げると頬ずりスリスリ、さらには毛並みに顔を埋めて深呼吸するのです!
スゥー、ハァー。
ケモノの匂いの中に、ほの甘い香りが胸いっぱいに広がるのです……。
充分に堪能したところで顔を上げ、今度はキュッと抱きしめるのですが……。
ふと、うさぎさんたちが一斉に一つの方向を向いたのです。
わたしも釣られてそちらを見ると。
はぅあっ!?
ルーナ様⁈
いっ、いつの間にここに⁈
くっ!
玉兎パイセンたちをモフることに集中するあまり、気配感知を怠ってしまったのす!
せっかくのサプライズがパーに!
『テッテレー!』ってやり返したかったのにぃ〜!
しかも!しかもですよ⁈
クリーム毛玉パイセンに顔を埋めてスーハーしてる痴態も見られたかも……!
羞恥のあまり顔に血が昇ってきたのです!
慌てるわたしの内心とは裏腹に、ゆっくりと歩いてくるルーナ様。
「いや……あの……えっと、これはですね?
違うんですよ!
ちょっとルーナ様を驚かそうと思ってですね?神獣変化して、転移して来たんですけど!
この人(?)たちの……そう!玉兎パイセンたちのモフモフがあまりにも魅力的すぎて我慢できなかったと言うかですね?」
クリーム毛玉パイセンを地面に下ろしてから立ち上がり、しどろもどろになって苦しい言い訳をしているんですけど……。
目の前まで来たルーナ様は、わたしをじっと見ているのですよ。
?
顔は珍しく固い感じなんですけど、なんか目がうるうるしてるような……。
「……ルーナ様?どうかしたのですか?」
怪訝に思って声をかけると。
ルーナ様に抱きしめられてしまったのです!
ムギュッ!
もともとの背の高さが違うから、わたしの顔はルーナ様の胸元あたりに押し付けられているのです。
……えーっと。
なんですか、この状況は。
「ひゃの……りゅーなしゃま?」
押し付けられているから、上手く喋れないんですけど。
上目遣いで見上げてみても、首の辺りが見えるばかりなり。
白くて綺麗な首筋ですねぇ。
それになんだかいい匂いが……。
ううっ!なんか急に恥ずかしくなってきたのです!
……それになんというか、初めて抱っこして撫でてもらった時のように切ないような、暖かい心地に胸がドキドキしてきたのです……!
ちょっと人の姿で抱きしめられたからって、我ながら乙女か⁈
乙女(1歳半)でしたね!そりゃあ仕方ないのです!
離してもらおうと身じろぎするんですけど、ルーナ様はさらにキュウっと力を入れて抱きしめてきたのですよ。
はぁ…………。
なんか分からんけど、もう諦めたから気が済むまでハグハグしてくれていいのですよ?
そっと手を、ルーナ様の腰のあたりに添えるのです。
一匹の角うさぎにすぎない、こんなわたしでもルーナ様の心を癒せるのなら……ね。
「うさぎ 長毛種」で検索するとクリーム毛玉パイセンの親戚が見られます。
イメージはアンゴラ種やネザーランドドワーフでしょうか。
可愛い、フワモコうさぎさんです。(*´꒳`*)
そして、読者様にはバレバレでしたが、これがやりたかったシーンですね。σ(^_^;)
亜神に進化したことで、転移魔法で月神宮に行けるだけのMPが確保できたので、予定を変更して会いに行ってもらいました。
サプライズで「テッテレー!」しに行ったミラさんですが……結果はご覧の通り。
ミラさんはいまいちピンときてませんが、次回はルーナ様視点でお送りします。
お楽しみに!ヽ(´▽`)/




