神兎 その35 待て待て待て!おひいさまってなんですか!?
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
今日は、予約していた「わたしの心はおじさんである」の書籍版が届いたので、執筆はお休みです。
カサイサンの次回作にご期待ください。
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
『おひいさま!お久しゅうございます!
ようこそ月神宮へ!最後にお会いしてから、いったい何千年ぶりでしょうか!』
ちょっ、ちょっと待って欲しいのです!
誰ですか、その「おひいさま」ってのは!
『みんな!おひいさまがお越しになりましたよ!
歓迎の準備を!』
玉兎さん(鑑定したから確定)が周りに声をかけると、どこから出てきたのか、わらわらと……いえ、ぴょこぴょこと集まってくるウサギ、うさぎ、兎。
っていうか、どんだけいるんですか!
長耳、短耳、長毛、短毛、垂れ耳も可愛いですね。
長毛種なんて、もうモッフモフのモッコモコですよ⁈
毛玉か?
ケサランパサランか!?
あのクリーム色の長毛の子はちょっとモフってみたいですね!
はっ……!そんな場合じゃなかった!
『おひいさま!』『本当だ、おひいさまだ!』『ご無沙汰しております、おひいさま!』『主様にはお会いしましたか?おひいさま!』
待て待て待て!
だから、いったい誰のことですか!
その「おひいさま」ってのは!
『? おひいさまは、おひいさまですよ?』『そうそう、我らが主、月神ルーナラーナ様の伴侶。』『龍神と地龍王の娘。』『半神のミラ様。』『そうです、ミラ様はわたくしたちにとってもおひいさまですから。』『そうそう。』『そうですそうです。』
ミラ様?
それは、わたしの名前。
でも、ミルラーナはルーナ様が付けてくれた名前。
ルーナ様のかつての婚約者、堕ちた女神に殺された半神の名前。
龍神と地龍王の娘に付けられる予定だった名前なのです。
この子たちは……ひょっとして、わたしとかつての婚約者を勘違いしてるんじゃないですか?
などと考えていると、一匹の玉兎がわたしの前でお腹を見せて寝転がるのです。「撫でれ」とばかりに。
フッ…………。
そんなに撫でられたいのなら、撫でてやろうじゃないですか!
わたしは誰の挑戦も受けるのです!
我がモフリテクニック、存分に味わうのですよ!
モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ……。
『おひいさま!わたしにもお願いします!』『ああ!わたくしにも!』『ズルいです!わたしが先です!』
ハッハッハッ。
月面でもモテモテで困ってしまうのですねー。
順番ですからね?じゅーんーばーんー。
ほうら、ここか?
ここがよいのですか?
目を細めてうっとり顔のうさぎさん。
それも当然なのです。
わたし自身が(角の生えた)うさぎですからね。
つまり!
うさぎさんのモフられて気持ちいいツボはすべて心得ているのですよ!




