間話 その30 売られた少女 「ありがとう神様!」
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
これからも楽しんでいただけると幸いです。
…………ぅ……うん……。
目をあけるとそこは……知らない部屋?
たしか……悪い人たちに家族で捕まって、偉そうな人に別々に売られて……そのあとは…………どうしたんだっけ。
「目が覚めたようですね。気分はどうですか?」
声のした方に目を向けると、ビックリするくらいキレイな女の人がいたの……。
赤みがかった金色の長い髪の毛。
村の人みたいに日に焼けてない、白い肌。
優しそうな真っ赤な目。
「……お姫さま?」
「フフフ。お姫様ではないですよ?
わたしの名前はミラ。
ケガをして運び込まれてきたあなたを魔法で治したのです。
しっかりと治したとは思うのですが、体は大丈夫ですか?」
わたしが大丈夫だと答えると。ミラ……お姉さんはニッコリと笑ってくれたの。
「大丈夫そうですね。
あなたをいじめて傷つけた貴族や、拐った悪人たちはみんな捕まって牢屋に入っているのです。
もうあなたを怖がらせる者は一人もいないのですよ。
よく頑張ったのですね。」
そうだっけ……?
なんか思い出そうと思っても、頭がぼんやりして思い出せないの……。
なんか怖いことがあったような気がするけど……。
「無理に思い出さなくてもいいんですよ。
人は辛いことがあると、心を守るためにそれを忘れてしまうことがあるそうですからね。
今食事を持ってくるから、少し待っていて欲しいのです。」
ミラお姉さんに会ってから10日くらいたったかな。
今、わたしは月の神様の神殿にお世話になっているの。
一緒にお世話になっている子供や大人たちもいるし、時々ミラお姉さんたちに会いに来る他の子たちと遊んだり、神官さまに字を教えてもらったり。
……ミラお姉さんの妹さんのリル……お姉さんだけは、少しだけお姉さんって言いづらいんだけど……。
だって、背もわたしとほとんどおんなじくらいで、わたしの方が少し高いくらいだし、なんだか子供っぽいし。
優しくて元気ないい人なんだけどね。
でも、リル……お姉さんは、ランお姉さんやレイお姉さんよりも上のお姉さんなんだってさ。ホントかな?
不思議に思って、ランお姉さんに聞いたら教えてくれたの。
「ええ、本当ですよ。
実をいうとミラお姉様をはじめ、リルお姉様にわたしもレイも血の繋がりはないんです。」
「えっ。ホントの姉妹じゃないの?」
びっくりしてランお姉さんを見ると、お姉さんは微笑んでくれたの。
「血の繋がりという意味では違いますね。
ですが、ミラお姉様は見ず知らずのわたしたちの命を助けてくださった上に、わたしたちを引き取り、家族になってくれたのです。
血の繋がりがなくても家族にはなれるのですよ?
引き取ってくれた順番から、リルお姉様がわたしの姉になったのです。」
そうなんだ……。
少し羨ましいなぁ。だって、わたしの家族はバラバラに売られちゃったから……。
「アイラ!」
この声は⁈
「パパ!ママ⁈」
嘘みたい!
あの日、悪い人たちに捕まって、別のところに売られたパパとママが目の前に!
二人にギュウっと抱きしめられて、わたしも抱きしめ返して、ちゃんといるんだって確認するの!
パパとママがここにいるって!
「お疲れ様でした、フィルリネア様。」
「いいえ、ミラ様やラン様のご協力があればこそですわ。
……売られてから、それほど時間が経ってなかったこともよかったです。
こうして家族そろって見つけることができましたから。」
「そうですね。」
ランお姉さんとキレイなお姉さんがニコニコして何か話してる。
わたしは泣いちゃったからよく分からないけど。
ありがとう神様!
わたしにパパとママを返してくれて!
この間話の少女は、ハゲ伯爵の部下に捕まって、ブタ子爵に売られたところを助けられました。
最初書いた時には、実際に被害にあってから助けられ、ミラさんに記憶を消されて、体も完璧に治されたことにしてました。
が、フィクションでも子供を嫌な目に合わせたくなくなったので、やめました。
過去にブタ子爵が何かしていたとしても、この子は被害にはあっていません。
まあ、捕まって売られたことが、すでに被害ではありますが。(^^;




