神兎 その32 フッ……クールに去るのです。
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
一応、これで一区切りですね。
断罪がやや不完全燃焼気味ですが、自然な流れ(作者の中では)に任せたらこうなりました。
もちろん異論は認めますが、とりあえずこんな感じでご容赦くださいませ。
これからも楽しんでいただけると幸いです。
というわけで。
ここはひとつ、フィリーと大公さんの顔を立ててですね?
この二人、ハゲ伯とブタ子爵の身柄は預けるのです。
ただし……。
『分かったのです。
たしかに人の罪は人が裁くのが筋ですね。
この二人のことは任せるのですよ。
ただし!
しっかりと余罪を追求すること。
彼らはしばらくは嘘をつけないはずですから簡単ですよね?
それと……被害者が心身ともに傷を負っていたら、知らせて欲しいのです。
わたしたちならば癒せるかもしれないですから。
それでいいですか?』
しばらくといっても、たぶん一生嘘はつけなくなっていると思うのですけどね?
なにせ亜神が神獣変化して、あり余る魔力のもとかけた魔法なのですから!
半分、呪いみたいなものですね。
大公さんは一度顔を上げて目を合わせると、再度頭を下げて感謝を伝えてきたのです。
「ありがとうございます、ミラ様。
お言葉に従いまして、この者達の罪は必ずや究明いたしましょう。
それと、被害者たちを癒やしていただけるとのこと。
そのお慈悲にも感謝を。」
言うと、もう一度深く頭を下げるのです。
ま、せいぜいしっかりと追求して欲しいものですね。
大公さんは立ち上がると衛兵を呼び、ハゲとブタを牢屋に引っ立てて行かせたのですよ。
ハゲブタコンビはともかく、衛兵の動きまでギクシャクしてたのはなんでですかね?
『それはそうだよ、ミラちゃん。
国家元首である大公まで跪いている場で、しかも亜神であるミラちゃんの前で行動しなきゃいけないんだからね。
緊張しない方がおかしいし、むしろよくやってると褒めてもいいくらいじゃない?』
それもそうですか。
わたしたち以外、全員膝をついているということは、今立っているわたしたちは大公さんはじめ、宮廷にいる全員よりも上位であるということ。
衛兵という、いわば平社員からすれば社長のさらに上、大株主が出てきたようなものなのですよ。
それは緊張しても仕方ないですね。
さてと、これでもう謁見は終わりにしてもいいですかね?
昨日の報告もしたし、小太り公子の謝罪も受けたし。
余計なちょっかいかけてきたハゲブタコンビも無事、牢屋に出荷されたし。
直接とどめを刺せなかったのが少しだけ残念ですが、取り調べがあるから我慢するのです。
……全部終わったら、とどめだけお願いしてみよっかな?
なるべく苦しめて殺したいですからね。
今からバリエーションを考えておかねば!
じゃあ、そういうことで。
そろそろお暇するのです!
全員、神獣変化を解除して神獣軍団から普通の美女と美少女軍団に戻ると、退出のご挨拶をしてから謁見の間を出て行くのですよ。
フッ。
亜神ミルラーナとその仲間たちはクールに去るのです。
「あの……ミラ様。そちらは逆方向です。
お部屋にご案内いたしますので、どうぞこちらへ。」
…………わたしは足を止めると、振り向いて侍女の人についていくのですよ。
それにゾロゾロとついて来るリルたち。
すまし顔で歩くのですが、少しだけ頬が赤くなっているのが自分でも分かるのですね……………………ハズカシー!




