神兎 その31 死んでもらうのです!(社会的に)
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
これからも楽しんでいただけると嬉しいですです。
まわりの人たちはきっと、ハゲたちがわたしに無礼な口をきいたから怒っていると思っているのです。
もちろん怒ってはいるのですけど、それだけで切り捨て御免と無礼討ちするほど気が短くはないのですよ。
江戸時代初期の武士じゃあるまいし。
ただの無礼な馬鹿なら関わらなければいいだけのことですからね。
それが、わたしだけでなくリルたちにも手を出そうとするのなら、降りかかる火の粉は払うべきなのです。
そのついでにわたしのストレスも解消できるなら言うことはないですね。
というわけで、肉体的に殺す前に、まず社会的に死んでもらおうと思うわけなのです。
そーれ!「正直爺さん」になあれ!
わたしはハゲとブタに手をかざすと闇魔法を使うのです。
抵抗されれば魔法はかからないのですが、もちろんそんなわけはなく。
なにせ今のわたしは魔力も三倍!
一万四千超の魔力から繰り出される魔法に人間ごときが抵抗のしようもないのです!
まあ、心が折れてるっぽいから、そもそも抵抗してないようですけど!
わたしは威圧を弱めると大公さんの方を振り返り、話しかけるのです。
「今、この者たちに嘘をつけなくする魔法をかけたのです。
見過ごせない称号をお持ちでしたので。
ハ……く爵は『国賊』『違法奴隷売買の元締め』。
ブ……もう一人は『異常性愛者』。
この国の法律では、奴隷の売買は違法なのですか?」
大公さんは驚いたようですが、予想もしていたのですかね?
「……噂はございましたが、まさか本当に奴隷の売買に手を出していたとは……。
もちろん違法でございます。
ミラ様……月神様やご家族を侮辱された、あなた様のお怒りはまことにごもっともではございますが、ここからはわたくしたちにお任せいただけないでしょうか……?
この国の者が犯した罪は、この国で裁きたく。
伏してお願い申し上げます。」
とそこまで一気に言うと、片ひざついた姿勢からさらに頭を下げたのですよ。
それにならう小太り公子やフィリーたち。
ほほう。
さすが大公さんはまともな感覚を持っているようですね。
まあ、言ってることは間違いではないのです。
人間の犯した罪は人間が裁くのが筋。
風船おやじの場合は、わたしたちに直接害をもたらしたから反撃したまでのことなのです。
司法に訴えても証拠があれば勝てたかもしれないですけど、そんな手間ひまをかける必要性もなかったですし。
わたしたちは神獣ですからね?
人間の法律に守られないかわりに、法律を守る理由も本来ならないのですよ。
今この場でハゲとブタをプチっと潰したとして、その罪を問われても実力で排除できるのですから。
それをしないのは、友人であるフィリーたちの顔を立てているだけ。
その家族である大公さんの顔もね?




