アルミラージ その23 伝説のセリフ。ここはわたしに任せて先に逃げるのです!
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これからも楽しんでいただけたら幸いです。
まったく、リルのやつは少々わたしに依存しすぎなのでは?
体だけ大きくなったのですけど、相変わらずグイグイくっついてくるし、寝る時とかべったりなのです。
この前なんて朝起きたら、『みらおねいちゃんって、ママみたいなの』ですって!
もちろん怒ってやったのですよ。
わたしはママじゃないのですからね!
姉からママに進化など冗談じゃないのです。
未婚の乙女に向かってまったく失礼なのですよ。
ブツブツ……。
さらには『おねいちゃんだいすき!』だの、『おねいちゃんとずっといっしょにいたいの!』だのと、あんまりあざといからプッツン切れて殴ってしまったのです。
その後すぐ、ステータスの差を思い出して青くなったのですが。
訳もわからず殴られて、やっぱり涙目になるリルなのです。
さすがに可哀想なので殴ったところを舐めてやったら、嬉しそうにしていたのですよ。
……殴った後に優しくするって……。
我ながらDV夫か? と思って凹んだのです……。
次からは怒っても手は出さないようにするのです。
こうして依存度が上がっていくのですから。
つまりは自分のせいなのですね。フゥ〜(ため息)。
というわけで、近頃はリルのベッタリ甘えん坊にも諦め気味なのですよ。
もっと歳を重ねて大人になれば、自然と姉離れしてくれるのです。
してくれると期待するのです。
してくれればいいなぁ、なのです。
さて、そんなこんなで今日も今日とてリルを連れて巡回するのです。
会話ができるので、リルの角研ぎや迷彩作業も完璧に教えこんだのですよ。
また尊敬の眼差しで見られたのですが、そこはスルーするのです。
ケガも治って、ステータスも上がったので移動速度も上昇したし。
今は隠密を教えるために、気配を消しながら歩いているのです。
さすがは角うさぎ、身体強化よりは簡単に覚えそうなのですね。
この調子でさっさとひとり立ちするのですよ。
っと、気配感知に反応があるのです。
この大きさはオークですか?
また生ハムが食べられるのです!
と、舌なめずりをしていると、反応がどんどん増えていくのです!
ちょっ、ちょっと待つのです! どんだけ増えるのですか!
もう10や20じゃきかないのです!
30、40、まだいくのですか⁈
これはさすがに正面から当たっては多勢に無勢で勝てないのです。
戦略的撤退するのです!
『リル。落ち着いて聞くのです。
オークがたくさんこちらに向かって来ているのです。
数が多いので、いったん退くのですよ。
気配を消したまま、ゆっくり下がるのです。』
緊張してフルフルとうなずくリルなのです。
!?
気付かれたのです!?
オークが何匹かこちらを向いているのです。
ちっ、相変わらず鼻だけはいいのです!
オークの移動速度なら振り切るのも簡単なのですが、今はリルも連れているのです。
まだリルの隠密は完璧ではないので、追いつかれたり、追跡を受ける可能性はゼロではないのですよ。
ここは遅滞防御戦闘、いわゆる足止めをして数を減らしてから逃げるべきなのです!
フフッ、これは今こそあの伝説のセリフを言うべき場面なのですよ!
わたしはリルに向かって念話で叫ぶのです。
『ここはわたしに任せて先に逃げるのです!』




