神兎 その26 残念公子が残念じゃない……だと?
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
現れた残念公子の運命やいかに⁈
((((;゜Д゜)))))))
これからも楽しんでいただけたら幸いです。
広間を見渡し、わたしの姿を見つけると一瞬喜びの表情を浮かべた後、一転真面目な顔になってこちらに歩いてくる残念公子。とその取り巻き。
わたしの目を見つめたまま、目の前で立ち止まるのです。
な、なんですか。やるって言うなら相手になるのですよ?
リルたちも警戒しているし、不意打ちなんか食らわないのです!
セクハラを警戒していると、残念公子と取り巻きは急に跪くと大きな声で謝罪してきたのですよ⁈
「ミラ様!昨日は大変失礼致しました!
初対面で、しかも婚約者のいる女性に対して、していい態度ではありませんでした。
また、あなた様は神獣であり、月神様の婚約者でもあるとのこと。
そのような方に対して、自分のしてしまった無礼な振る舞いに恥じ入るばかりです。
許してはいただけないかもしれませんが、謝罪する気持ちがあることだけは知って欲しいのです。
申し訳ありませんでした!」
……………………はい?
そこまで一気に言うと、頭を深く下げたのです。
同じ姿勢をとる取り巻き。
わたしは驚きのあまりフリーズしてしまうのですよ。
同じく凍りつく周りの人々。
…………あの残念公子が残念じゃない……だと?
愕然とするわたしを放置して、フィリーが喜びの声を上げたのです。
「お兄様!ようやく正気に戻ってくれたのですね!」
ええ〜⁈
「クラウディウス兄様は、もともと公明正大なお人柄。
それが賄賂を受け取ったり、神殿の占拠を黙認したりと兄様らしくない行動をされていました。
それこそが魅了され、指示されていたことの証明にほかなりません。
こうして元の兄様に戻ってくれたのなら、この国も安心ですね。」
「クリスティアか。
お前や神官たちにも多大な迷惑をかけてしまったな。
すまなかった。
改めて神殿に赴き謝罪するゆえ、神官長殿に取り次ぎを頼む。」
「かしこまりました。」
微笑んで了承する、クリスさん。
え、えーっと。
つまりなんですか。
もともと残念公子は残念じゃなかったと?
うそーん!
『これはあれか。魅了されていたことで自分の欲望の枷が外れていたってことかな。
まともな人間なら、いくらミラちゃんが魅力的だからって初対面で求婚はしないからねえ。』
た、たしかに。
イタリア人かお前は!と、ちょっとだけ思ってたのです。
「クラウディウスよ、気は済んだか?」
「はい、父上。
謹慎を破ったことも含めて、改めて罰をお与えください。」
「よかろう。追って沙汰するゆえ、下がりなさい。」
大公さんとわたしに対して黙礼をしてから立ち去ろうとする残念公子。いや、元残念公子ですか?
うーん、語呂が悪い。
じゃあ、残念じゃない公子。もっと悪い。
残念という特徴がなくなったなら、残る特徴はふくよかで、ちょっとぽっちゃりしてるくらい?
よし!お前の新しいあだ名は「小太り公子」なのです!
ちょっと怒りの持って行き先が無くなって、宙ぶらりんな感じですが……更生するというならば、それを待ってみてもいいと思うのです。
それで治らなかったら、また改めてボコればいいだけですからね。
励むのですよ?残念公子改め、小太り公子。
生温かい視線で小太り公子と取り巻きを見送ろうとすると、横からまた物言いが。
「公子殿下まで、この女の言うことを信じるのですか⁈」
……まだいたのですか?ハゲ伯爵。
残念公子は、元々残念じゃない公子なのでした。
(^_^;)
わりと皆様にフルボッコにされてたので、予定を変えて断罪ルートに入れようかな?と迷いましたが、当初の予定通りに小太り公子にジョブチェンジしました。
これで小太り公子は生き残りそうですね。
失脚はするかもしれませんが。
公子の処遇に賛否はあると思いますが、ここはミラさんと同じく海のように深い心でお許しいただければと思います。m(_ _)m
……けっして、自分と同じ小太りだからって同情したわけじゃあないんですよ?:(;゛゜'ω゜'):




