神兎 その25 美女で野獣!ガチで!
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
今回は難産でした。
書き直すこと三回にしてようやく投稿。
しかも、予約が間に合わず、朝起きて書いてからの投稿です。
数分の遅刻はご容赦くださいませ。(^_^;)
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
「先ほどの発言を取り消してください!」
プリプリと怒っているフィリー。
たしかにちょっとイラッときたんですけど、わたしはたいして気にしてないのですよ?
と思ったら、うちの妹たちの方がより剣呑な雰囲気なのです。
ハゲ伯を睨みつけて威圧しているのですよ。
わたしを囲み、少し腰を落として臨戦体勢。
いつでも飛びかかれる状態ですね。
みんな成り立てとはいえ、元野生の魔獣たちで、現在は神獣である三匹の威圧。
ランが元の狼の姿だったら、唸り声を上げて威嚇していたかも。グルルルル!って。
広間はいつのまにか静まり返り、恐怖のあまり震えてへたりこんでいる者もいる始末。
ハゲ伯も顔色真っ青でブルってるのです。ざまぁ。
まあ、それも仕方ないのです。だって、Sランクの神獣の威圧ですからね。
言わば、猛獣の檻の中に入れられたようなものなのです。
それも、ブラッディベアやエルダードラゴンよりも格上の存在の。
見た目は美女と美少女なんですけどね。
つまりはみんな、美女であり、野獣なのです!ガチで!
でも、みんな落ち着くのです。
左手を横に伸ばしてみんなを止め、わたしの前に出て腰を落としているリルの頭を撫でてなだめるのです。
『でもでも、あの人間はミラお姉ちゃんを馬鹿にしたのよ?
絶対に許せないの!お姉ちゃんは綺麗なだけじゃないんだから!』
『そうですとも!わたしたちの群れの主にして、ルーナ様の婚約者であるミラお姉様を侮辱するなど、到底許されざる行為です。
即時、殲滅をご提案いたします。』
『戦神様からもらった神器の試し切りにちょうどいいのデス!』
若干一羽、趣きが違う子がいるのですが……殲滅は不許可なのです。
もちろん、ただの人間などアリンコを潰すようにプチっとできるのですが、そんな真似はしてはいけないのですよ。
それぞれ撫でたり、肩に触れたりしながらなだめると、みんな渋々ですが威圧するのをやめてくれたのです。
空気がゆるみ、ざわめく室内。
こちらを見る目に怯えの気配が混ざるのです。
ありゃりゃ、これはやっちゃったかな?
せっかく好意的な雰囲気だったのが、怖がられてしまったっぽいですね。
まあ、侮られるよりはマシかもしれないですけど。
と、一人の侍従っぽい使用人が大公さんのそばに小走りで駆け寄り、何やら耳元でヒソヒソと話しているのですよ。
何かあったんですかね?
「なんだと?公子には謹慎を申し付けたはずだが。」
大公さんがつぶやく間にも、早足で広間に近づく気配。
「父上!わたしにも参加させていただきたい!」
広間の扉をバーンと勢いよく開けて入ってきたのは、取り巻きを連れた残念公子なのです。
思わず渋面になるフィリーに大公さん、そしてわたし。
いったいなにしに来たん?
これで役者がそろったかな?




