神兎 その24 じゃあ、あだ名は「ハゲ伯」で。
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これからも楽しんでいただけると幸いです。
ひとしきり話し終えると、大公さんが息をついて背もたれに体を預けたのです。
「……ふう。ミラ殿の話はよく分かった。
アンデッドモンスターから我が娘を守ってくれたばかりか、恐るべき魔獣、堕ちた女神の眷属からも公都を守り抜き、市民を救ってくれたこと、心から感謝する。
それに神殿に現れた女神の化身を打ち破った上、我らにかけられた魅了も解いてくれたとは。
ミラ殿たちを遣わしてくれた月神様にも最大限の感謝を捧げよう。
壊された神殿と市街の修繕は、公国が責任を持って行わせていただく。」
魅了が解かれたからか、とても物分かりのいい人ですね。大公さんは。
黒鳥に壊された街や神殿のお直しもしてくれるのもポイント高いのです。
……黒鳥に掴まれて、わたし(の頭)が壊した所もあるのですが、全部黒鳥のせいだから気にしないのです。
ちゃんと守ろうとしたのも本当だし。
ともかく、これならちゃんと話ができるというもの。
と思ったら、横から物言いがついたのです。
まあ、簡単に終わるとは思ってなかったですけどね。
「大公殿下。この、どこの馬の骨とも分からぬ娘の言うことを信じるのですかな?」
胡乱な目つきでこちらを睨みつけながら口出ししてきたのは、太鼓腹で額から頭のてっぺんまで禿げあがったおっさんなのですよ。
着ている服も上等で高そうですし、貴族なんですかね?
でも、大公さんにかけた言葉は丁寧ですが、慇懃無礼というか敬意に欠けているのです。
さすがに大公さんも額に皺をよせて、ちょっと不快そう。
「アストリス伯。そなたはミラ殿の言葉が信じられないというのかね。
それは、我が娘であるフィルリネアや巫女であるクリスティア殿の言葉を疑うということでもあるのだが?」
ふーん、こいつは伯爵なんですね。
じゃあ、あだ名は「ハゲ伯」で。
または「ハーゲンダ⚪︎ツ」
あるいは「⬜︎イヤルコペンハーゲン」
ハゲ伯は、大公さんの言葉にやれやれとでも言いたそうに肩をすくめると答えたのです。
「そうは申しませんが。
しかし、姫君方が騙されている可能性はございますな。
だいたい、神獣だの眷属の魔獣などと、信じる方がどうかしております。」
「しかしな、伯よ。宮廷魔術師が鑑定しているのだから、間違いはあるまい。」
「ならば、その宮廷魔術師もグルなのでしょう。
おおかた、その美貌で籠絡したのではないですかな?
見目だけは良いですからな!ハッハッハッ!
貴様らも正直に話すなら、わしの愛人にしてやってもよいぞ?」
「アストリス伯!」
フィリーが怒って、ハゲ伯を咎めているのです。
無礼な物言いに、大公さんやまともな廷臣たちもさすがに鼻白んだようですね。
それにしても、ああ言えばこう言うというか、もう最初から嘘って決めつけているから、聞く耳持たない感じですね。
わたしもイラッときたのですが、フィリーが代わりに怒ってくれたから耐えられたのです。
……それに二番煎じというか、言ってることが残念公子とあんまり変わらなかったし。
この国の男たちは、こんなんばっかですかね?
大公&騎士「いや、そんなことはないぞ?」




