神兎 その20 神への階梯を登る角うさぎ
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
「その通りなのです。
昨夜、月神宮に精神だけ招かれて、その場で神々の加護をいただき、亜神となったのですよ。
それと、リルとランは昨日のうちにそれぞれ地母神様と月神様に加護と名前をいただき、神獣に。
レイは昨夜、戦神様に同じく加護と名前をいただいて神獣になったのです。
よければ鑑定してみるといいのですよ?」
それを聞いて、久しぶりに顔を青くしてこちらをじっと見つめる侍女の人……名前はなんでしたっけ?
『キャサリーテ様です。』
そう、それ。
ありがとう、ラン。
そうそう、キャサリーテさんでしたね。
でも、名前で呼ぶほど仲がいいわけじゃないから、まだ侍女の人でいっか。
というわけで侍女の人は、わたしたちを鑑定したようですが、蒼白な顔色が紅潮していたのですよ。
おお。今までと違うリアクションなのです。
そのまま控えていた場所から前に出ると跪き、感極まる感じで言うのです。
「……亜神となられましたこと、お喜び申し上げます。
さらには、神々との契約を果たされた後には神の一柱となられるとのこと。
今、この場に居合わせたことに感謝いたしますわ。」
ああ、やっぱりこうなったのですね。
『神への階梯を登る角うさぎ 神々と契約し、それを果たした暁には神へと至る角うさぎ。その目標は困難ではあるが、けして不可能ではない。』
この称号を見られたら、ただの亜神ではなくなってしまうのもしょうがないのですよ。
神へと至る途中の亜神ですからね。
侍女の人の言葉を聞いて、驚きつつも同じく跪くフィリーとクリスさん。
表情はやはり興奮気味なのです。
「おめでとうございます!ミラ様!」
「いずれ、神々に列せられる方とこうしてご一緒できること、月神様に感謝申し上げます……。」
……まあ仕方ないんですかねえ。
神様になるかもしれない人、いや角うさぎとこうして身近に触れ合えるなんて、なかなか無いことですからね。
ましてや、信心深い人たちですし。
そんな人たちが、今まさに神話(?)が生まれようとしている現場に立ち会っているんですから、感動もひとしおというものなのです。
でもね?
信仰心は仕方ないにしても、やっぱり仲良くなった友人に跪かれて、キラキラした目で見上げられるのは、なんだか距離を感じて嫌なのです!
だから、さっさと立ってソファに戻って欲しいのですよ!
そのまま言っても聞かなそうだから、わたしも片ひざついて目線を合わせ、フィリーの手をとるのです。
「ありがとう、フィリー。それにクリスさんも。
まあ半ば成り行きで亜神となったのですけれどね。
兎も角、跪かれたままでは話もできないので、みんな座って欲しいのですよ?」
わたしの言葉に、ようやく立ち上がってソファに座る二人。
侍女の人は、元通り二人の後ろに控えるのです。
「ミラ様。話の腰を折ってしまい、申し訳ありません。」
侍女の人が顔を赤くして頭を下げ、恐縮しているのですよ。
まあまあ、『亜神』のインパクトは強烈ですからね。仕方ないのです。
つまるところ、亜神であることをバラしたレイの責任なので、気にしなくていいのですよ!
レイ『なんでデスか⁈』∑(゜Д゜)




