神兎 その14 子供のほっぺは元気な桜色がいいですよね。
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
これからも楽しんでいただけると幸いです。
わたしの角と横たわる子供の体が光り、土気色をしていた体が徐々に肌色に戻っていくのです。
やがて皮膚に血色が戻り、冷たく固くなっていた頬っぺたもふっくら桜色に。
最後に周囲に留まっていた、この子の魂を体に導いてあげると、スッと体に入っていったのですよ。
気のせいか、少しだけ嬉しそうな気がしたのです。
これにて術式は終了。
組んでいた手をほどいて、子供の脈を確認すれば小さな手首に力強く打ちつける拍動を感じたのです。
呼吸音もあるし、胸も上下しているし。
あとは目覚めるのを待つばかり。
すでに憔悴ママは涙腺崩壊、号泣ママにジョブチェンジしているようですね。
「もう大丈夫なのです。
あとは目が覚めたら、滋養のあるものを食べさせてゆっくりと休ませてあげるのですよ?
それと……これを。」
わたしは羽織ったケープの陰から出すふりをして、アイテムボックスから小さな陶器の瓶を取り出すのです。
さっき、フィリーたちにお願いして、昨日使った薬瓶をいくつか持ってきてもらったのですよ。
そして。
フィリーたちも部屋から出て行ってもらったあとに、わたしの、その……、お乳をですね?ちょっとばかし入れておいたのです。
衰弱して死にかけていたレイを一口で回復させた、わたしのおっぱいエリクサー。
病み上がり……いや黄泉がえり?の体には効くかと思って用意しておいたのですよ。
……少しサービスが過ぎる気がしないでもないですが、これも乗りかかった船。
「体力を回復させる薬なのです。
こちらも飲ませてあげるのですよ?」
薬瓶を手に握らせると、号泣ママはそのままわたしの手を両手で握りしめて何度も頭を下げ、感謝を伝えてきたのです。
「あ、ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとう……ございま……す……。」
最後の方は言葉にならなかったみたいですね。
うんうん。
いいことをした後は気持ちいいですね!
さて!次いってみよー!
ガンガンいくのですよ!
ガンガンいった結果、すべての死者を蘇生することができたのです。
そして…………わたしのまわりには跪いてお祈りしている人たちが。
な、なんか居た堪れないのですっ。
わたしはそんな崇められるような存在では……あるのですかね。亜神ですし。
神獣変化を解いて、普通の人の姿に戻るのです。
「今見たわたしの姿は忘れて欲しいのです。よろしいですか?」
跪く人たちに話しかけると、最初に蘇生させた子供のママさんですかね?
恐る恐る聞いてきたのです。
「それはもちろんお約束いたしますが……。
あの、もしや、あなた様は女神様でしょうか?」
わたしは微笑んで答えるのですよ。
「いいえ。わたしは神ではないのです。」
はい!嘘はついてないですからね!
すると後ろからレイが余計なひと言を。
「ママ姉ちゃんはまだ神さまにはなっていないのデス!今は亜神なのデスよ!」
レイちゃん⁈
全部バラすんじゃないのです!




