神兎 その12 天(てん)つゆの糸で織られたホニャララの羽衣
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
これからも楽しんでいただけると幸いです。
さてと、腹ごしらえも終わったのです。
神殿のご飯だからか質素なものですが、美味しくいただいたのですよ。
リルたちはお皿だけ借りて、いつものオークの生ハムを適当に切って食べさせたのです。
お好みで軽く炙るくらいはしたけれど。
いざ出陣!と思ったら、フィリーから待ったがかかったのです。
「ミラ様、よろしければお召し替えいたしませんか?
そちらのワンピースも悪くはありませんが、ミラ様のお美しさには些か不釣り合いかと思います。」
えー。
また着せ替え人形になるのはちょっと……。
それに、お亡くなりになった人のご遺族のことを考えると、あまり時間をかけるのもなんですし。
渋っているのが顔に出ていたのか、慌てて言い募るのですよ。
「いえいえ!お時間は取らせませんわ!
と言うのも、この神殿には奉納された衣服があるそうなのです。
ですよね?クリスお姉様。」
急に話を振られ、苦笑して続けるクリスさん。
「はい。フィルリネアの言う通り、この神殿の女神官たちが紡ぎ、織った布で作られた服がございます。
その糸は聖域で月の光を浴びて聖別されるため、銀月糸と呼ばれ、銀月糸で織った布を銀月布といいます。
この銀月布で作られた服ならば、月神様の眷属であらせられるミラ様に相応しいかと思いますが、いかがですか?」
ほうほう。
形状にもよるのですが、それはアリですね。
なんか、ゲームの終盤に出てきそうな後衛職の装備っぽいのです。
天つゆの糸で織ったなんちゃらの羽衣とか、ホニャララのドレスとか。
それに月の光で聖別されたというのも、クリスさんの言う通りわたしにピッタリ。
フィリーとクリスさんがおすすめしてくるからには、エロい服ではないと思うのですけど。
一応は確認してから着るとするのです。
『ミラお姉ちゃん、キレイなの!とっても似合ってるのよ?』
『そうですね、とてもお似合いです。』
『ママ姉ちゃん、キレイなのデス!』
結果から言うと、問題なく着られるレベルの衣装だったのです。
なんというか、神様に奉納する衣装だからなのか、ゆったりとした真っ白なトーガっぽい、神像がまとっているような服なのですね。
布地も柔らかく滑らか、しかもうっすら光っているような。
絹ではなさそうですし、なにかこの世界特有のファンタジー素材?
胸のすぐ下に切り返しがあり、背中はわりと広く開いているので、神獣変化して翼が出ても破れなさそう。
なんとも都合のいい衣装があったものですが、ひょっとして神託とかあったんですかね。
腕と肩がほぼ丸出しなのですけど、そこはケープっぽいのを羽織って隠すから問題無し。
しかしこれは……。
「ああ……。やはりとてもお似合いになりますね……。」
「クリスお姉様のおっしゃる通りですわ!
ミラ様の神々しいばかりのお美しさが、さらに増しますわね!」
……お褒めの言葉は嬉しいのですけど、跪いて拝むのはやめてもらえないですかね。
亜神となったから、巫女としての立場では仕方ないかもしれないですが。
せっかく知り合った友人に崇められるのは、微妙に嫌なのです!
せめて対等な立場で褒めて欲しいのですよ⁈
天つゆの糸は、本来なら「あまつゆの糸」と読みます。
あまつゆの糸で作る、水の羽衣はドラクエⅡの最終装備ですね。
おそばやそうめんにつける汁を想像したあなた。
安心してください。自分もそうでした。
天つゆの糸で作られた羽衣はきっと、お腹が空くカツオ出汁の香りがすることでしょう。
色はもちろん黒に近い濃い茶色。
いや、だって変換したら出てきたんだもの。
そしたら使うしかないでしょう?(*゜∀゜*)




