神兎 その11 ……恥ずっ!
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
「どうぞ。」
ノックに答えると、扉を開けて入って来たのはフィリーとクリスさんですね。
「おはようございます、ミラ様!」
「おはようございます。よく眠れましたか?」
ニッコリ笑顔で駆け寄ってくるフィリーと、おっとり微笑んでこちらを気遣ってくれるクリスさん。
姉妹でも性格は違うようですね。
でも、二人ともいい子なのです。
なんて、実年齢二歳半のわたしが言うことじゃないですが。
「二人とも、おはようなのです。
さっそくですが、蘇生できなかった方たちがいたとか。
わたしでも出来るかどうか確約はできないですが、試してみるので案内してもらっても?」
クリスさんは眉根を寄せて哀しみの表情を見せるのです。
「もうお聞きになられたのですね。
おっしゃる通り、わたくしでは力が及びませんでした。
昨日、あれだけ助けていただいたミラ様におすがりするのは心苦しいのですが……。
お願いできますでしょうか?」
わたしはこっくりと頷くのです。
「もちろんなのです。
ケガ人や亡くなった人たちは、わたしとあの眷属との戦いのとばっちりを受けたようなもの。
悪いのは眷属の黒鳥ですが、わたしにも責任の一端はあると思うのですよ。
だから、出来るだけのことはするのです。」
すると、クリスさんもフィリーも輝くばかりの笑顔で感謝を伝えてきたのですよ。
「ありがとうございます!ミラ様!
やはりミラ様は慈悲深き月神様の御使ですわね!」
「ミラ様。公国の民になり代わり、重ね重ね感謝いたしますわ。」
うん。
やっぱり性格の差が出ているのですね。
フィリーは若い分、元気でミーハーっぽくて、クリスさんはしっとりしっかりお姉さん系なのです。
フィリーも最初はもっと落ち着きがあったような気もするのですけど。
心を開いた身内に対してはこんな感じなんですかね。
それではご案内〜と思ったら……。
キュルルルル〜〜
わたしのお腹から大きな音が。
は、恥ずかしくなんかないのですよ⁈
お腹が空くのは生きてる証!
生理現象は止めようがないんですから、しょうがないのです!
頬と耳まで熱いから顔も真っ赤になっているかと思うと、また小っ恥ずかしいんですけど。
でも、二人ともクスッと微笑んで提案してくれたのです。
「気づかずに申し訳ありません。
朝食の準備をさせていますので、蘇生するのは朝食をいただいた後にいたしましょうか。」
そういえば、昨日はお風呂にも入らず、ご飯も食べずに寝入ってしまったような。
あれだけ働いた後で何も食べないとか、そりゃあお腹も鳴るわ。
「朝食を運んでくる」と部屋を出て行く二人をまだ赤い顔で見送るわたしなのです。
……恥ずっ!




