アルミラージ その21 まったく手のかかる妹分なのですよ!(前足だけど)
おねいちゃんじゃないのです!
思わず反応すると、リルの体がビクッとしたのです。
『……おねいちゃんじゃないの?』
涙目で言うのですよ?
ずるいのです。あざといのです。
あーもう、ハイハイ、お姉ちゃんですよー。
もういいのです。
称号にでるということは、この世界のシステム的な? ものに認められてしまったということなのです。
客観的に見てそうだということなのですよ。
諦めて渋々うなずくと、嬉しそうにすり寄ってくるのですよ。
こっちは白目剥いて、魂が半分抜けかけているのですがね。
いつまでも呆然としてはいられないので、気を取り直してリルにいい聞かせて、訓練させるのです。
あくまでもお前は居候として置いてやっているのです。
ひとり立ち出来るようになったら出ていくのですよ!
って言ったら、また涙目になったのです……。
フ、フン!
まあスィートマイホームはたくさん作ったし、部屋? は余っているのですから、住みたければ好きにするといいのですよ!
くっ! 嬉しそうにしやがって……!
とにかく、いつまでもおんぶに抱っこはしてられないのです。
一人でもゴブリン程度は正面から瞬殺できるくらいには鍛えてやるのです!
ありがたく思うのですよ!
さっそく魔力循環について説明するのですが、案の定、まったく分かっていないのです。
ここは定番の、わたしが魔力を流してやって身につけさせるパターンなのですかね。
リルの両前足とわたしの両前足をつなぐのです。
(両手って言えないのが面倒なのです。)
握るほどの指の長さはないので、上から重ねる感じなのです。
……触っていると念話がさらに明晰に聞こえるのですね。
さあ、今から魔力を流すから、それを感じて出来るなら自分で動かしてみるのです!
ゆっくりと右前足からリルの左前足に魔力を流すのです。
そのまま、リルの右前足からわたしの左前足に流して円を描くように魔力を循環させていくのです。
さすがに最初から上手くはできないのですね。
魔力を流すのをやめても、リルだけでは魔力循環できないのです。
またゆっくりと流していくのです。
わたしの高い魔力とMPを使って、ゴリ押しで回路を作る方法もあるのですが、無理矢理ではどんな障害が残るか分からないのでやめておくのです。
地道にやるのが一番なのですよ。
(角うさぎ的には)天才であるわたしと違って、リルは普通の角うさぎなのですから。
おっと魔石を食べさせるのを忘れていたのです。
……わたしが初めて魔石を食べた時には、たしか熱が出たのですよね。
食べさせるのは寝る前にするのです。
手を繋いで魔力循環しながら。
ふー、まったく手のかかる妹分なのですよ!




