間話 その28 神議会 前編 僕は認めない。
いつも、つたない作者をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
今回も、まだうまく煮詰められてませんので、後で修正するかもしれません。
それでも、楽しんでいただければ幸いです。
side 月神
『僕は反対だ。
僕たち神々の不始末の結果を、なぜミラちゃんが尻拭いしなければならないのかな?
ましてや、彼女は過去の事件の当事者であり、被害者だ。
言ってみれば、殺人事件の被害者に加害者を始末させるようなものじゃないか。
そんなことは到底認められない。
今すぐに神威をもって、あの堕女神を処分するべきだ。』
月神宮の広大な神域に、ほぼすべての神格が集っている。
でも、ほとんどは化身を送ってきているし、他の者は自分の眷属に憑依して神議会に参加している。
例外は太陽神と地母神、つまりは僕の両親だけ。
この二柱だけは、本体でこの場に立っている。
神域は溢れる神気で息がつまるほど。
もっとも、この場にいる神々が息をするかどうかなんて分からないけどね。
兎に角、あの女神の後始末は僕たち神々の責任であり、ミラちゃんが負うべきものじゃない。
いくら、今地上に居て都合がいいからって、到底許せないね。
side 鍛治神
『そうは言うてもな、月神よ。
まがりなりにも神格を持つかの女神を消し去るほどの神威を下せば、地上でどれほどの影響が出るか分からぬわけでもあるまい。
最悪の場合、封じた大陸ごと消滅するかもしれんぞ?』
『結界でも張って防げばいいだろう?
防ぎきれず余波で人間の国が滅ぼうと、生態系が崩れようと僕の知ったことじゃないね。
輪廻の輪に戻って、転生してもらうだけさ。
転生先はサービスしてあげるよ?』
やれやれ、いくら三千年ぶりに会えた愛しの君のためとはいえ、ここまで頑なになるとはな。
かの封印されし堕ちた女神の、その封印が解けかけておる。
ちょうど地上にいる、月神の眷属に対処してもらおうと話す神々と、月神との議論は先ほどからずっとこの調子じゃ。
気持ちは分からんでもない。
それに筋も通っておるからな。
たしかに、殺された者に、殺した者を始末させようなど聞いたこともないわ。
わしもミラ殿にやらせたくはないのだがな……。
しかし、わしらにとって都合がいいことも、また事実。
まず、今現在、地上にいること。
今から誰かの化身を下ろすなり、眷属や神獣を遣わすなりするには手間も時間もかかる。
ましてや、神威を下せば地上の被害がいかほどになるか分からぬからな。
次に自分以外にも神獣を従えておること。
堕ちたりとはいえ神に対抗するならば、戦力は多いにこしたことはない。
まだ従魔がいるようじゃから、さらに増やすこともできるじゃろう。
そして、最後が重要なのだが、神を殺す手段を持っておること。
『全元素衝破』というたか?
まさか、我らにも通じる魔法を作り出すとはな……。
さすがと言うべきか、危険視するべきか迷うところじゃな。




