玉兎 その129 本気の目と書いてマジ目。フィリーの覚悟
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
これからも楽しんでいただけると幸いです。
「ミラ様……いったい何が?」
不安な様子で問いかけてくるフィリー。
わたしは彼女の両肩に手を置き、話すのです。
「フィリー、落ち着いて聞くのです。
例の、堕ちた女神の眷属が人間を生け贄にして、自らアンデッドモンスターとなり、街中に現れたのです。
能力が減衰していたとはいえ、Sランクの神獣を核にしたアンデッド。その力は、エルダードラゴンの比ではないのですよ。
狙いは分からないですが、わたしが奴を倒すので、フィリーは安全な場所に避難して欲しいのです。」
目を見開き、息を呑んで驚くフィリーなのです。
「それと、可能ならば民人の避難誘導もお願いするのです。
グイナルたちならお願いできるのですか?
ただし、けっして黒鳥に手は出さないように!
あれは人間が敵う相手ではないのですよ。」
本気の目と書いて、本気目で一息に伝えると、震えながらも大きく頷いてくれたのです。
「……わかりました。
民の避難はお任せください。
それと、この方たちはどういたしましょうか?」
と、嫌そうに折り重なるように倒れている残念公子たちを指差すのですが。
……これは、相当怒っているのですね。
自分のお兄さんを、この方呼ばわりとは。
ま、まあ自業自得ですけれどもね?
「魅了は解除したので、起きれば正気に戻っていると思うのです。
放置するわけにもいかないですから、一緒に連れて行って欲しいのですよ。」
「……仕方ありませんわね。
我が兄ながら命冥加なこと。
ミラ様のご慈悲に感謝するのですよ?」
いやいや、寝てるから聞こえていないと思うのですが。
ひどい言われようですね。
それと、もう一つ。
「フィリー、わたしの従魔たちを護衛につけるのです。
フィリーにはランを。光魔法が得意なので、ケガの治療なども任せられるのです。
リルとレイには巫女たちの解放をしてもらうのです。」
わたしの言葉を聞き、少し考えるフィリー、
「ミラ様、わたくしがお姉様のところに参ります。
そうすれば、従魔の方たちを二手に分ける必要はなくなりますよね?
敵が強大ならば、少しでもお味方を増やすべきです。」
うーん。一理あるのですけれど……。
「……敵の狙いがわからない以上、かなり危険なのですよ?」
すると、首を横にふり答えるのです。
「危険は承知の上ですわ。
エルダードラゴンよりも強いというなら、この国のどこに居ても同じです。
それにミラ様が倒してくださるのでしょう?」
本気目で返されてしまったのですよ。
……そこまで言われては受け入れるしかないですね。
よし!
その信頼に応えるのです!
神獣の真の力を見せてやるのですよ!
でも、できるなら神獣変化はしたくないですけどね!




