玉兎 その128 デカッ⁈黒鳥(特大)登場!
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
こ、この気配は……!
道中で倒したエルダードラゴンゾンビ、通称エルゾンよりもさらに禍々しい!
残念セクハラ公子とは別の意味でサブイボが立つのですよ!
もちろん宮殿の中に瘴気が溢れているわけではないですけど、建物の中にいても感じるほど強大なのです!
気配を感じる方向に向くと、ガラス窓が。
わたしは、後ろからかけられる声を全て無視して窓際へと走るのです。
鍵を開ける手ももどかしく、ガラス窓を全開に開け放つと上体を乗り出して、気配を感じる方角に目を凝らすのです。
宮殿からそう遠くない、城下の街並み。
おそらく貴族や大商人などの富裕な者たちが暮らすであろう大きな屋敷から、黒い煙が立ち昇っているのですよ。
超感覚には焦臭さや火の気は感じないのです。
感じるのは微かな腐臭と悪意と狂気。
と、轟音をあげて屋根を突き破り、何か巨大な黒い塊が現れたのです!
瓦礫や埃が収まると、そこには闇よりもなお濃い漆黒の大きな……この塊をなんと形容したものか。
ぱっと見では横向きの卵?
すると流線形の卵型から、裂け目ができるように鎌首をもたげ。
差し渡し40メートルは超えそうな、これまた巨大な翼を広げて。
首の長さを入れると、全長30メートル近い黒鳥が姿を現したのです。
デカッ!
普通黒鳥っていったら、どんなにデカい個体でも2メートルもいかないのですよ⁈
シルエットは同じ黒鳥だからか、遠近感が狂うのですよ!
ええい!何はなくとも鑑定!
チィッ!やっぱり妨害されたのですか!
仕方ないから、解析鑑定!
黒鳥(特大)を観察していると、首がこちらを向いて止まったのですよ。
なぜか分からないですが、黒鳥(特大)から感じる喜悦の感情。
見つかった⁈
狙いはどっちなのですかね?
フィリーですか?
それともお姉さんの巫女姫?
それとも……わたしに向かって吹きつけてくるこの悪意。
狙いはわたしなのですか?
もし、そうならば好都合。
市街地でガチバトルをかますわけにもいかないですからね。
誘導して街の外で戦うのです!
わたしは部屋の中に向かって振り向くのです。
何か喚いて言い募っている、残念公子と腰巾着。
うるさいのです!
フィリーと話せないじゃないですか!
わたしはツカツカと残念公子に歩みより、その顔面にアイアンクローをかますのです!
グワシッ!
そして光魔法で魅了を解除!
ついでに腰巾着も!
しかる後に闇魔法で深ーく眠らせるのです。
バタバタと倒れ伏す残念公子たち。
ふう。
やっと静かになったのですね。
まったく最初からこうしていればよかったのですよ!




