玉兎 その124 ぽっこりお腹にパツパツシャツ。残念公子登場!
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
今日は「TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す〜ヘンダーソン氏の福音を〜」の7巻が届いたので、執筆はお休みです。
カサイサンの次回作にご期待ください。
これからも楽しんでいただけると幸いです。
さて。
お茶もいただいて、一息ついたところで本題に入るのです。
わたしの正体を知らないメイドちゃんには席を外してもらい、フィリー姫と話すのですよ。
と言っても、大まかな流れは馬車の中でだいたい決めていたのですけれどね。
今が午後三時過ぎくらいですか?
この後、姫様が晩餐の席にわたしを呼んで、出席できる家族、大公家の人々に恩人として紹介してもらうのです。
そして、その時に鑑定、可能ならばその場で魅了や洗脳を解除。
無理なら夜に部屋に忍び込んで解除するのです。
大公家の家族構成は、
・お父さんである大公殿下
・お兄さんの公子殿下
・お姉さんの巫女
・本人
の四人なのだそうです。
祖父母はすでになく、お母さんである大公妃も姫様が子供の頃に病で亡くなっているそうなのです。
お姉さんは神殿に閉じこめられているから、当然出席できず。
残るは大公と公子ですが、二人とも公務があるから毎日夕食をともにするわけではないとのこと。
ですが、フィリー姫が半月ぶりに帰ってきたので、夕食時に顔を合わせる可能性は高いらしいのです。
その時がチャンスですね。
うむうむ。
さっさと解決して次の段階に進みたいのですよ。
と、お姫様と話していると、ノックの音もなく、勢いよくドアが開いたのです。
侍女の人とお姫様が揃って咎める視線を向ける先には、高そうな服を着た貴族っぽい男たちが。
室内にズカズカと入ってくる三人の男性。
先頭の一人が一際豪華な服装なので、こいつが一番身分の高いやつなのですかね?
ぱっと見では二十歳くらいですか?
ピッタリとした真っ白パンツ、タイツですかね?を履いて、レースのついたシャツに、金糸銀糸で刺繍のついたジャケットっぽい濃紺の上着。
オールバックに撫でつけられた明るい茶色の髪。
格好だけなら、やんごとない貴公子で通るのですけれど……。
ぽっこりお腹に、パツパツのシャツにパンツ。
血色のいい、ふくよかな頬。
なんだか、ぽっちゃりしたお子様が頑張って七五三の装束を着たような、残念な印象なのですね……。
子供でもないから、可愛いげもなく。
その残念貴公子が口を開くのですよ。
「フィルリネア!
戻ったのに挨拶も無いとは、どういう了見だ⁈」
「……お兄様。淑女の部屋にノックもなく入るのはマナー違反ですわよ?」
言いつつも、ソファーから立ち上がり残念貴公子改め、残念公子に向き直るのです。
「ただいま戻りましたわ、お兄様。」
お辞儀をするのですが。
「フン!よくぞ無事に帰って来れたものだ。
最近は何かと物騒だからな。
これに懲りたら、むやみに出歩かないことだ!」
あー。
襲撃を仄めかしちゃったのですね?
言葉だけなら、妹姫を心配して出歩かないように注意していると取れないこともないですけど。
それよりは、自分に都合が悪いからお姫様の行動を縛りたい、という風にしか聞こえないですね。
やっぱりグル確定ですかね?




