玉兎 その114 はじめてのじんか(レイ)
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
今回で合計三十万文字突破を記念して、8時に追加で投稿いたします。
ここまで書き続けてこれたのも、お読みいただき、応援してくださる読者様方のおかげと感謝しております。
まだまだ終わりは見えませんが、これからも楽しんでいただけるよう、最後まで書き続けられたらと思います。
ありがとうございました!
ヽ(*^ω^*)ノ
『レイ。お前はネヴァンに進化したことで、人化、つまり人間に変身するスキルを手に入れたのですよ。
今なら馬車の中なので多くの人に見られることはないのです。
試しに人化してみるのはどうですか?』
レイに問いかけると。
『人に見られないって言っても、お姫様たちがいるのデス。
この人たちには見られてもいいのデスか?』
と、ここにいるお姫様と侍女の人のことを聞いてきたのですよ。
わたしは答えるのです。
『構わないのです。
お姫様たちには、わたしが神獣であることは話してあるのですから。
わたしが変化するところも見ているし。』
『分かったのデス。
初めて人化するので上手く出来るか分からないデスけど、やってみるのデス!』
そう言うと、レイは目をつむり集中し始めたのです。
おっと、いきなり人化してはお姫様たちが驚いてしまうのですね。
先に説明しておくのです。
『殿下。レイは進化したことで、人間の姿に変身出来るようになったのですよ。
能力の検証として人化を試してみるので、驚くかもしれないですが危険はないので安心してほしいのです。』
お姫様たちに念話で伝えるとまたも驚いているのですね。
なんだかスマンです。
歩く万国驚愕劇で。
せめて驚きで寿命が縮まないように、生と死を司る神さまに祈っておくのです。
『うん。大丈夫じゃないかな?たぶん。』
……余計なことを祈ってしまったのですね。
本当に答えてくるとは思わなかったのです。
まあいいのです。
レイの変身を見届けるのですよ。
目の前の座席で目を閉じているレイの体が、薄く銀色に光っているのですよ。
光ったまま体の輪郭が大きくなり、小柄な人型に変わったのです。
ふうん。変化は側から見るとこんな風なんですね。
そして光が収まると、そこには座席の上に女の子座りしている黒髪の少女がいたのです。
もちろんマッパで!
わたしは慌ててアイテムボックスからフード付きローブを取り出してレイにかけ……ようとして自分のケダモノの手に気付くのです。
この手ではローブをかけられない……!
動きを止めたわたしを見て察した侍女の人が、ローブを受け取るとレイの肩にかけて前を合わせてくれたのですよ。
さすが気がきくのですね、キャシーさんは!
改めてレイを見ると、年の頃なら中学生くらい?
まだ女性として成熟する前のほっそりとした姿。
肩にかかるくらいの、文字通りカラスの濡れ羽色のストレートの黒髪。
ぱっちりと開けた瞳も、深く輝く黒曜石の黒。
パッツン前髪の下に太めの眉毛。
個々のパーツは日本人なのですが、顔の彫りの深さとお肌の白さがその印象を裏切るのですね。
純和風ではなく、エキゾチックなハーフっぽい美少女。
それがレイの人化した姿なのです。




