玉兎 その100 封印されし神
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます!
m(_ _)m
玉兎もついに、『その100』まで来てしまいました。
我ながら「いつまで続くんだこれ?」と思わなくもないですけど、完結目指して一歩一歩進めて参ります。
これからも楽しんでいただけたら幸いです!
ありがとうございました!
話がそれたのですね。
ルーナ様の記憶はいずれ消去するとして。
物理で。
あの厨二仮面が眷属だというのは理解したのです。
その力が落ちているということも。
ですが、そもそも堕ちた女神とは何者なのですか?
『……ちょっと不穏な言葉が聞こえた気がするけど……。
まあ話を進めようか。
言葉通りの意味さ。
罪を犯して罰を受けた女神のことだよ。
地上に堕とされ、封印された神。
【愛と美の女神エルウィナス】
それが堕ちた女神の名前だよ。』
愛と美の女神ですか……。
地球でいうビーナスとかアフロディーテとかに近い立ち位置っぽいですね。
その美女神が、堕女神になるほどの罪を犯したと。
いったいどんな罪を犯せば、地に堕とされた上に封印の憂き目にあわされるのですか?
『…………………。』
……なにか言い淀んでいるようなのですけど。
言いたくないことや、わたしが知るべきでないことまで聞き出すつもりはないのですよ?
『……いや。
ミラちゃん、君は知っておくべきかもしれない。
かの神の眷属とも関わってしまったわけだし。
このまま僕の本神殿に行っても、また狙われる可能性が高いからね。』
やっぱり、そっちにも関わっているのですか。
たしかに愛と美の女神の眷属ともなれば、スキルで魅了とかしてきそう。
お姫様のボンクラ兄さん(失礼)たちの、急な変節にも説明がつくのです。
『彼女は非常に気位が高く、自分以上に美しい存在などいない、と高言して憚らなかった。
客観的な事実として美しかったけどね。
けれども、それで勘違いしてしまったのさ。
序列第三位の神の婚約者が決められた時に、自分こそがふさわしいとね。』
なんか人間くさい神さまですね。
気位が高いとか、高慢ちきな悪役令嬢を想像してしまったのですよ。
美人だけど、あんまりお近づきになりたくないタイプというか。
……んん?
序列第三位の神とか、どっかで聞いたような……?
もしかして、ルーナ様のことですか?
『なぜそこで疑問形なの?……まあいいけどさ。
そう。前に話したと思うけど、序列第三位ってのは僕のことだね。
つまり、僕の婚約者が決まったのに、横恋慕で邪魔をしてきたんだ。
そのくせ、外面は良くてね。
色々と妨害してきたんだけど、他の神々には気づかれてはいなかったから、僕たちが訴えても取り上げてもらえなかったんだよ。』
うーん。ますます悪役令嬢っぽいですね。
ルーナ様は兎も角、その婚約者とやらが可哀想なのです。
横恋慕でいじめられては、完全にとばっちりじゃないですか。
そこはお相手であるルーナ様がビシッと言って、止めるべきなのですよ!
『もちろん言ったさ。
実際に実力で止めたこともある。
それで、諦めたように見えたんだ……。
それが油断になってしまったのかな、あんなことが起きたのは。』
なんだか不穏な空気がただよってきたのです……。
考えてみれば、ルーナ様に配偶者、奥さんのいる気配はないのです。
見えないところにいるだけかもしれないですが。
それでも、わたしを婚約者として迎えるということは、一夫多妻制でなかった場合、奥さんは今はいないということになるのです。
かつていたという婚約者はどうなったのですか?
まさか……。
『ミラちゃんの想像したとおりだよ。
僕の婚約者は、かの女神に殺されたのさ。
それも、僕たちの婚儀の席で、僕の目の前でね。』




