玉兎 その95 ま、それはそれとして。
いつも、ポンコツで豚骨な作者のつたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
これからも楽しんでいただけると幸いです。
さて。
エルゾンの亡骸や魔石をアイテムボックスに入れて、他の戦闘のリザルト確認といくのですが、その前に。
「レイ?こっちに来るのです。」
わたしは念話と同時に、敢えて言葉を口にしてレイを呼ぶのです。
それはそれは優しい猫撫で声で。
ビクッとして、そろそろと三本足で歩いてくるレイ。
わたしの足元まで来て、わたしを見上げるのです。
「レイ。なぜ、わたしの言いつけを破ったのですか?」
わたしの口調はまだ柔らかいまま。
しかし、それがプレッシャーになっているのか、さらにビクビクしているレイなのです。
『……マ、ママネエちゃんのヤクにタチたかったのデス……。』
ハァとため息をついて諭すのです。
「レイ。よく聞くのです。
わたしの役に立ちたいというレイの気持ちは嬉しいのです。
しかし、そのことでレイが傷ついてしまったら、ましてや死んでしまっては、わたしは悲しいのですよ?
泣いてしまうかもしれないのです。
今回の敵はSランクの火龍のアンデッド。
レイが来ても有効打を与えられないし、万が一その攻撃を受ければ死んでしまうのですよ。
レイ、お前はまだ弱いのですから、来るべきではなかったのです。』
懇々とお説教されて、目を伏せ俯くレイ。
ちょっとだけ涙目?
それでも俯いたまま、言うのです。
『……レイがヨワいのはワカッテるのデス。
ソレでもヤクにタチたかったのデス!
レイはママネエちゃんにモラッテばかりで、ナニもカエセてナイのデスから……。』
あらま。そんなことを気にしていたのですか。
まったく、子供がそんなこと気にしなくてもいいのに。
わたしは一歩進んで片膝をつき、両手でレイをそっと持ち上げて目線を合わせるのです。
「レイ。家族が、それも年長者が年下の者に何かを与えるのは当たり前のことなのです。
それを引け目に感じることはないのですよ?
それに、以前リルとランにも言ったのですけれど、わたしは役に立つからレイを家族にしたわけではないのです。
親をなくした一羽の雛鳥を放っておけなかったから家族になったのですし、家族になったからにはわたしは決して見捨てたりしないのです。
だから、そんなに必死になって役に立とうとしなくてもいいのですよ。
役に立とうが立つまいが、レイが大切な妹であることには変わりないのですから。」
わたしの言葉を聞き、ポロポロと涙をこぼすレイ。
『ゴメンなさい、ママネエちゃん…。』
胸に抱き寄せると、目を閉じてわたしの胸元に顔を埋めるレイなのです。
くちばしがあるから横向きですけど。
うんうん、分かればそれでいいのですよ。
よしよしとレイの背中を撫でるわたし。
……ま、それはそれとして、後でお仕置きフルコースはしっかりとするのですけどね!
お仕置き中。
ミラ『コチョコチョコチョ……。ここか?ここがよいのですか?』
レイ『キャハハハハハ……!ヒーッ、ヒーッ!ゴ、ゴメンなさーい!』
( ̄Д ̄)ノシ(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
お仕置きでくすぐり倒され、息も絶え絶え。
それでも構ってもらえて、やっぱり少し嬉しそうなレイちゃんでした。




