玉兎 その88 正当防衛なんだから、十分の九殺しでいいですよね?
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『……そんな……。
あり得ない!なぜ眷属がここにいるんだ⁈
まさか封印に綻びが……?』
ちょっとルーナ様!
思わせぶりなこと呟いてないで、事情の説明を求めるのです!
こっちは今、絶賛戦闘中なのですよ⁈
しかも、堕ちた女神の眷属(仮)に攻撃されてる上に、こいつは推定、死霊術師。
アンデッドの発生源の可能性が高いのです。
生と死を司る月神の眷属としても見逃せない相手なのでは?
こいつが眷属だとしても、反撃していいのですか⁈
具体的には半殺しに……いや十分の九殺しくらいにしてやりたいのですが。
『あ、ああ、ごめんね?ミラちゃん。
もちろん反撃していいし、半殺しにしても問題ないよ?
正当防衛だしね。
できれば尋問したいから、十分の九殺しは勘弁して欲しいかなぁ。
細かい事情はあとで説明するから、とにかく無力化してくれるとありがたい。頼むよ。』
……本当ですね?
あとできっちり説明してもらうのですよ?
会話中にも容赦なく攻撃してくる仮面の眷属(仮)。
しかし、許可ももらったし反撃のお時間なのですよ!
わたしは、襲いくる小剣を角剣で弾き返すと同時に。
全身に魔力をめぐらせ、魔力と神気を角剣に込めるのです!
「ぐうっ!」
一気に弾き飛ばされ、ついでに伸びた光剣を防ぎきれずに右肩を負傷した仮面。
わたしはゆっくりと歩みよりながら光剣をまっすぐに向けるのです。
身体超強化をしたままなので、うっすらと体を光らせながら威圧するのです。
「ルーナ様の許可も出たので、あなたを拘束させてもらうのです。
大人しく従うならよし。抵抗するならば、手足の一、二本は覚悟するのですよ?」
その言葉を聞いて驚きの声を上げる仮面の眷属(仮)。
「……ルーナだと?
まさか月神のことか?貴様、月神の巫女か?
それにその剣はいったい……。
⁈ 神獣の角剣⁈ミルラーナ⁈
その顔はまさか!」
しまった!
やつも鑑定を持っていたのです!
角剣からこっちの正体がバレたっぽいですね……。
でも、顔はなんなのですかね?
わたしは美少女顔ではあるものの、こいつに会ったことなどないはずですが。
まあいいのです。
どうせ大人しく捕まる気などないようですからね。
手足の二、三本切ってもアイテムボックスに保存しておけば、後でつなげることもできるでしょうし。
「警告はしたのですよ?」
言って、わたしは再び斬りかかるのです。
「ちぃっ……!」
仮面は大きく飛び退ると目の前に手をかざして、魔力を集中するのです。
させるか!
わたしも魔力を発して相殺しようとしたのですが、一歩間に合わず魔法は発動したのですが。
しかし、これは攻撃魔法の類いではない?
ひょっとしてアイテムボックス?
仮面の前の黒い空間から巨大な何かが、ズルリと出現したのですよ。
まるで暗闇から産み落とされたかのように。
そして、それに二本の小剣を突き立てる仮面。
小剣から紫色の瘴気(仮)が全体に広がるのです。
「ここは退かせてもらうぜ。
テメェはこいつと遊んでな!」
小剣を抜くと。
巨大なかたまりが動き出したのです。
鎌首をもたげ。
皮膜の翼を広げ。
赤黒い鱗に光を反射させて。
「ギジャアアアァァァァーーーー!!!」
かつて倒した地龍よりも大きな赤龍のアンデッドが雄叫びを上げたのです。




