玉兎 その81 あ。忘れていたのです!
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます♪
ヽ(´▽`)/
これかも楽しんでいただけると幸いです。
くっ……!
慢心があったのですか?
自分のスペックなら大抵のことはなんとかなると……!
ランのスピードもけっして遅くはないのですが、気が逸るわたしにはもどかしく感じるのです。
『ラン。わたし一人で先に戻るので、後から来るのですよ。』
『……しかし、ご主人様……。』
『ランも気づいているのですよね?
Aランク魔物を陽動にするのですから、本命はAランクが複数か、それ以上の敵がいる可能性があるのです。
リルたちが心配なのですよ……。』
ランの青空色のたてがみを撫でながら伝えると納得してくれたのですよ。
『……わかりました、ご主人様。
ですが、戻るならわたしもご一緒します。
ご主人様の転移魔法ならば一瞬で戻れますから。』
あ。
転移魔法のことを忘れていたのです!
危ない危ない、一人で全力疾走で戻るところだったのですよ。
せっかく能力を隠してたのに、加速装置(嘘)を使ってしまっては意味がなくなってしまうのです!
それじゃあ、思い出させてくれたランに感謝しながら、野営地のわたしの部屋まで転移なのです!
到着なのです!
部屋から出ながら、リルとレイに念話を飛ばすのですよ。
『リル!レイ!
転移で野営地に着いたのです!
状況は?』
『ミラお姉ちゃん!お帰りなさいなの!
オークっぽいのは足が遅いから、まだ接敵してないの。
間に合ってよかったのよ!』
『キシのヒトがウシロにマワッテ、シキをトッテいるのデス!
デモ、ニンゲンたちのカズがスクないからフアンそうなのデス。』
よし!
間に合ったし、グイナルさんもいい判断なのです。
ただ、レイの言う通り、後方の見張りが一人に、側面の見張りがそれぞれ一人ずつなので、グイナルさんを含めて四人だけなのですね。
正面が7人で狼ゾンビに手一杯ですから、これでさらに側面から攻撃されたら終わりですね。
……わたしたちが居なければね?
もし本当に側面攻撃があったら。
その時はもう、自重も、体裁も投げ捨てて、本気で相手をしてやるのです。
まあ、そうならないことを祈るのですけれど。
後方の防壁にたどり着くと、リル、レイとグイナルさんたちが迎えてくれたのですよ。
顔には喜色を浮かべながら。
「おお!ミラ殿、間に合ってくれたか!」
「ええ、お待たせしたのです。
あれはオークのアンデッドなのですか?」
「そうだ。力だけはあるオークがアンデッドになったことで、さらにタガが外れているからな。
けっして侮れないのだよ。」
うん、言ってることは間違っていないのですよ。
ですが、わたしたちには当てはまらないのです!
所詮はオークですからね。
オークキングゾンビとかいたら、ちょっとヤバげですけど。
……フラグじゃないですよね?




