玉兎 その78 初手、必殺技。『こうなったら一か八かなの!』
『いつも、つたない作品を読んでくれて、ありがとうなの!
今日は、リルが大活躍するから、楽しんで欲しいのよ?』
A
(♯╹ω╹♯ )
ランに乗って防壁の外を走るのです。
その横にピッタリとついて飛ぶのは、『天翔ける首刈りうさぎ』、スクヴェイダーのリルなのです。
狼ゾンビに邪魔されないように、アースウォールを二枚使ってビッグボーアと、ブラッディベアに向けて道を作るのです。
ですが、大量にいる狼をすべて排除はできず、土壁の中にけっこうな数が入っているのですよ。
こいつらは自力で殲滅するしかないのですね。
さて、どの魔法を使おうかな?と思ったら。
『ミラお姉ちゃん!ここはリルにお任せなの!』
とリルが猛スピードで突っ込んでいったのですよ。
頭を少し下げ。
全身に魔力を流し。
さらには風魔法で加速、回転する。
まさか……?
しょっぱなから必殺技をかますのですか⁈
『フッフーン♪
こうなったら一か八かなの!
必殺!ゲイルカルネージ!』
た、たしかに土壁で区切った一本道に敵がいるわけで、突破攻撃するには美味しいシチュエーションですけどね?
でも、Fランク相当の狼ゾンビに、Aランク魔物の必殺技をぶつけるとか、オーバーキルにも程があるのでは⁈(汗)
バシュッグキャメチャボキッ……ドヴァキャ!
……あーあーあー……。
道の先にいたビッグボーアゾンビまで、頭から大穴空けてミンチにしてしまったのですよ……。
ビグボゾンビはリルに任せるつもりだったから結果オーライですけれど。
それにしても……久しぶりに見たリルの必殺技ですが、相変わらずえげつない威力なのです……。
魔物の素材とかは一切考慮しない、粉砕技ですからね。(遠い目)
ま、まあまあ、猪とはいえゾンビのお肉や毛皮など食べたくないし使いたくないから問題ないのです!
あ、でも魔石くらいは残ってるといいのですが。
この有様では期待薄ですね。
散らばる肉片の中を進みながら思ったのですよ……。
『ミラお姉ちゃん!見てた見てた?
リルがイノシシさんをやっつけたのよ?』
ちょっとだけ目を回しつつも、褒めて褒めてといった感じで飛んできたので、わたしは苦笑しつつも声をかけるのですよ。
あれだけの高速回転で「ちょっとだけ」で済むのもすごいですけれどね……。
『ええ、よくやってくれたのですよ、リル。
これで邪魔者はいなくなったから、あとは熊を倒すだけなのです。
予定通り、リルはいったん防壁まで戻って、人間たちを援護して欲しいのです。』
『うん!頑張ってね、ミラお姉ちゃん!』
ニッコニコで野営地に戻っていくリル。
オーバーキルをどう嗜めるか悩みながら見送るのですよ。
確実に敵を倒すには悪くない手なのですが、それでも奥の手を初手で多数の人目の前で見せるのは少しだけ微妙なのですね。
昔の少年マンガでも言っていたのです。
「奥の手は先に見せるな。見せるならさらに奥の手を持て。」と。
まあ、パーティ単位で考えるなら、まだまだ奥の手はたっぷりあるのですけれどね?




