玉兎 その75 獣臭い?わ、わたしたちじゃないのですよ⁈(でも一応、クンクンと自分の匂いを確認)
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます♪
\(๑・̑◡・̑๑)/
これからも楽しんでいただければ幸いです。
兵隊さんの配置も済み、腐臭のしてくる方角、森の方に向かって警戒するのです。
陣形は、防壁の内側にわたしを中心にして左右にリル、ラン、兵隊さん。レイは空に、グイナルさんは少しだけ後方にいて指揮をするのですね。
戦闘能力的には兵の中で一番強いのですが、指揮官が最前線で戦っては防衛戦は務まらないのです。
それに、逆方向にも念のために配置してもらっているのですが、もし本当に逆から来た時には救援に行ってもらわなければいけないですし。
予備戦力は大事なのです。
徐々に近づく腐臭。
腐臭に混じって獣の臭いがするのです。
野生の獣臭というか。
わ、わたしたちの臭いじゃないのですよ⁈
わたしたちは毎日お風呂に入っているし、フッサフサでツヤッツヤな毛並みは暖かい、いい匂いがするのです。
それぞれ違う匂いですが、しいて言えばお日様の匂いというか、柔らか毛布の匂いというか。
あ。赤ちゃんの匂いっぽい気もするのです。
ちょっと乳っぽい匂いというか。
…………わたしの乳ですかね?
意識して出さないと、出ないはずですが。
と、兎に角!
わたしたちではない獣の臭いがするのです!
ということは、獣のアンデッドなのですかね?
たしかに、街中の墓地でもなければ、人間の死体なんて大量には手に入らないですし。
それが動物なら、森の中で材料には事欠かないですからね。
ゴロツキを雇うよりも、獣や魔物をテイムするよりも、従順で裏切らない手駒。
便利であることだけは認めるのですが、輪廻を歪めることは許さないのです。
何よりも、狩って糧にするわけでもなく、襲われたから反撃したわけでもなく、ただ手駒にするために殺された動物たち。
わたしも、自分が強くなるためにゴブリンやオークなど、魔物をさんざん殺しまくってきたので、あまり人のことは言えないのですが。
それでも殺した相手に敬意を持って魔石を取り込んでいたし、食べてきたのです。
死者を冒涜するとは、こういうことか。
なんだか、嫌〜な納得をしてしまったのですね。
と、ゾンビにしては速いスピードで近づく連中が灯りの範囲に入ってきたのです。
強まる腐臭。でも耐えられないほどではないのです。
やっぱり死にたて?いや、殺したてですか?
狼っぽいのが多数、後から猪っぽいのに、さらにデカいのが一匹。熊っぽい。
光の範囲内に続々と入ってくるゾンビアニマルズ。
言わば、『腐った獣』といったところですか。
操られる哀れな魂たちに、この神獣様が安息を与えてあげるのです。
感謝して眠りにつくのですよ!




