玉兎 その67 メイドちゃんにモフらせろ!『リルも撫でて欲しいのよ?』
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます♪
ヽ(*^ω^*)ノ
これからも楽しんでもらえたら嬉しいです。
さて。
変化の時間切れで衣装合わせもできないし、そろそろお開きに……と思ったら、メイドちゃんの手がまたワキワキしているのが見えてしまったのです。
リルたちをモフれなかったのを、ちょっとだけ可哀想に思ってたんでしたっけ。
仕方ないですね。
この神獣様の黄金の毛並みをモフるとよいのですよ!
『残念ですが、衣装合わせはまたの機会にお願いするのです。
ところで、そちらのメイド?さんは動物がお好きなのですか?
先程から手元がそわそわしているのですけれど。』
指摘すると、ビクッとしてから直立不動になった後、手を前で組み、目を泳がせながらモゴモゴと言い訳をするのです。
「え、あ、あの、その、そんなことはないこともないと言いますか…!」
わたしは無言で続きを促すのです。
すると、その圧力に屈したのかボソボソと告白するのですよ。
「えーと、はい、すみません……。
実は、実家で犬を飼っていまして。
その、動物は大好きなんです………。」
『やっぱりそうだったのですね。
昼間もリルたちを撫でたそうに見えたので、少し気になっていたのですよ。
よかったら、わたしを撫でてみますか?』
と聞くと、食い気味に、
「いいんですか!!」
ちょっ、声!声がでかいのですよ!
「ユーリン!いけませんよ?」
侍女の人、キャサリーテさんが嗜めるのですが。
『構わないのですよ。
人に撫でられるのも嫌いではないのです。
祖父に撫でられたのを思い出すのです。』
わたしが、そう言って許しを与えると、渋々認めるキャサリーテさんと、目を輝かせて喜ぶメイドちゃん。
侍女の人からすれば、神獣であるわたしを飼い犬と同じ扱いでモフられるのは、気が気ではないのでしょうけど。
しかしながら、貴族かもしれないとはいえ、今の表向きのわたしの立場はただの護衛なのです。
強硬に反対もできず、認めざるを得ないのですね。
すると、お姫様もおずおずと申し出てくるのです。
「あの……。わたくしも撫でてよろしいでしょうか?」
その言葉に、あなたもですか⁈と驚いてお姫様の方を振り返るキャサリーテさん。
気苦労が絶えないですね。お疲れ様なのです。
『もちろんなのです。
ただし、角には気をつけて欲しいのです。
触ると切れてしまうほど鋭いですから。』
まあ、多少の怪我はすぐに治すのですが、それでもわざわざ痛い思いはしない方がいいので、注意をうながすのです。
そして、わたしのそばにしゃがみこんで、左右から手を触れてくるのです。
「ふわあぁぁ……!
暖かくて滑らかで柔らかくて、とっても触り心地がいいです…!」
「フフフ、本当ですね。
従魔の方たちの感触も素敵でしたけど、ミラ様には敵わないですわね。」
フフフン?
さすがに神獣である、わたしのモフモフに夢中なようですね!
今のうちに存分に味わうのです!
そんなわたしたちを見て、リルが自分も撫でてもらいたいと言い出したのです。
『みんなしてずるいの!
リルも撫でられたいし、ミラお姉ちゃんを撫でたいのよ?』
リル……。ジェラシーで憤慨しつつも、わたしだけに念話で話しかけた判断は素晴らしいのです。
ご褒美に撫でてあげるのですよ!
リルを呼ぶと、嬉しそうに近づいてくるのです。
それを見て、メイドちゃんはさらにテンションアップ。
「この子も撫でていいんですか⁈」
頷くと、嬉々として撫で始めるのです。
最終的にはレイも加わってのモフモフ祭りになったのですね。
あ、そこはもうちょい右。
そうそう、そこを指で毛をすくように撫でるのです。
うん、なかなかの腕前ですね。
この調子で腕を上げれば、『撫でソムリエ』であるリルも満足するのですよ!
精進するのです!




