玉兎 その57 もしもし、ルーナ様?って電話か!
イツモ、ツタナいサクヒンをヨンデクレて、アリガトー。
コレカラモ、タノシんでホシイのデス!
ゞ\( ° ∨ ° )ノシ
「わたしに頼る前に、他の人たちに助力はもらえなかったのですか?」
と聞くと、いったん顔を上げて答えるのですよ。
「……その貴族に対抗できるだけの力を持つ大貴族となると数も少なく……。
今もわたくしたちが直接お願いに向かった帰りなのですが、内戦を起こすわけにはいかないと断られてしまいました。
父である大公は、兄の言うことを信じきっていて、わたくしたちの言うことなど取り上げてもらえませんし。
もう、わたくしたちには、ミラ様しか頼れる方はいないのです!
どうか、どうかお願いいたします!」
と言い切ると再び頭を下げるお姫様。
場を馬車の中に移して正解ですね。
人前でお姫様が、ただの魔物使いに頭を下げるところなど、とても見せられないのですよ。
ともかく、お姫様のお願いに答える前に、ルーナ様に確認の念話をするのです。
なんか、電話みたく言っているのですが。
もしもし、ルーナ様?
人間たちの事情に、眷属であるわたしが直接介入してもいいのですかね?
『神々が直接介入するには、色々と複雑な手続きがいるけど、ミラちゃんなら問題はないよ。
君は地上で生まれ、今も地上で生きているからね。
僕の眷属といっても、限りなく地上の原生生物に近い扱いになるから。
それにあの風船おやじ?を断罪してるから今さらだしね。
しかし、僕の神殿が占拠されてたなんて知らなかったよ!
ちょっと確認してみるけど、神殿を解放するなら月神の眷属としても名分は立つんじゃない?』
……そうですか。
風船おやじを、もみじおろしにしてる段階で今さらでしたね。
それに眷属といえども、原住民からの成り上がりだから、地上での介入もギリOKなのですかね?
まあ細かいことは気にしないのですよ。
月神様からの直接の許可がもらえたのですから、介入するのに問題は無いのです!
それにしても、自分の神殿が占拠されているのに知らなかったって……。
まあ、ルーナ様の仕事はあくまでも生物の生と死、輪廻の管理であって、神殿の管理は神殿を建てた人間の仕事なのですかね。
考えてみれば、神殿があっても無くても神様のお仕事に支障はなさそうですし。
神殿が先ではなくて、神さまがいて、それを祀る神殿があるわけですからね。
あれば便利くらい?
それじゃあ、お姫様に承諾すると伝えるのですよ。
フフフン?
神獣である、このわたしが助けてあげるのですから、神殿の解放は約束されたようなものなのです!
ありがたく思うのですよ!




