アルミラージ その8 肉食女子うさぎ。
やっと混乱から我にかえった女の子が、そろそろとゴブリン達に近づいていってとどめを刺しているっぽいのです。
ハァ〜、やれやれなのですよ。
とどめを刺すだけでも経験値になるのですかね。
この経験を活かしてレベルをあげて、少なくともゴブリン程度は倒せるようになるといいのですが。
この進化した猛獣、アルミラージであるわたしがリスクをとってまで助けてあげたのですから、せいぜい頑張って生き延びて欲しいものなのです。
さて、スィートマイホームなのですが、少し川から離れた場所に作るしかないのですかね〜。
ちょっと不便だけど仕方ないのです。
……ふと思いついたのですけれど、スィートマイホームもひとつしか作ってはいけない、というわけではないのですよね。
拠点となる場所、スィートマイホームを複数用意しておいて、状況に合わせて移動、使いわければよいのです。
今でいえば、旧スィートマイホームの周りが血の池地獄になって、いや、してしまったので、ほとぼりが冷めるまで別のスィートマイホームに住めばいい、ということなのです。
血の池地獄にしたり、人間にバレたり、周囲の獲物を狩り尽くしたりしたら、別のスィートマイホームに移動。
出来れば4、5ヶ所スィートマイホームを準備して、定期的にグルグル巡回するイメージなのです。
なんだか別荘をたくさん持って、シーズンごとに移り住むお金持ちの気分になってきたのです♪
夏は涼しい高原の別荘に……。
冬は暖かい南の島へ……。
夢は広がるのですね!
なんて、まだ一ヶ所も作ってはいない上に、同じ草原の中なんですけどね!ハッハッハッ。
さて、方針は決まったとはいえ、今日のところは出だしでケチがついたので、もう旧スィートマイホームに帰って寝るのです。
お腹も空いたので、帰り道に草を食べながら帰るのですよ。
これがホントの道草を食う、なのです!(ドヤァ)
…………草が美味くないのです。
あれぇ〜? 草なんて大抵美味しく食べられたのですけど?
進化して味覚が変わってしまったのですかね?
あっ、アルミラージさんは肉食獣だったのです!
うーむ、これからは毎日お肉食べなきゃいけないのですか?
ビタミンが足りなくなりそうな食生活ですね。
進化したけれど元々うさぎの魔物だから、草も食べられなくはなさそうなのですが、消化不良で腹痛とかなるのも嫌なのです。
草は副菜扱いにして、主食は肉で固定するのですかね。
もちろん魔力草は別腹なのです。
となると、さっきのゴブリン達、置いてきたのはもったいなかったですか?
いや、いくらお肉でもゴブリンは食べたくないのです。他の獲物を探すとするのです。
と、気配察知に感アリ! なのです。
これは……先程の女の子とゴブリンがいた方向から何かが近づいてくるのです。
足音は複数、二足歩行と、四つ足? なのです。
まさかとは思うのですが……。
「kyaaaa〜〜〜!」
未知の言語での悲鳴が段々近づいてきたのです。
すると、さっきの女の子がオオカミさんに追いかけられて、わたしの目の前を涙目で全力疾走していったのですよ。
……何をやっているのですかね……。(呆れ)




