玉兎 その50 なんかスマンです。打算で助けてしまって。
いつもつたない作品を読んでくれて、ありがとう!
これからも楽しんでくれると嬉しいよ!
(自分で書いておきながら寒っ!アイドルのMCか!)
(=゜ω゜)ノ
改めて、四人が座れるだけの大きさの丸テーブルと椅子を土魔法で作り、全員で座るのです。
わたしの正面にお姫様、右に騎士、左に戦闘侍女が席についたのですよ。
リルは当然、わたしの膝の上。
レイは肩に、ランは傍らに伏せているのです。
風魔法で防音結界を張ったら準備完了。
戦闘侍女の人は結界に気づいたみたいですね。
それでもわたしが冷静に対応しているので、多少は落ち着いたようなのです。
「音が漏れないよう結界を張ったから、これで落ち着いてお話しできるのです。
さて、何から話したものか……。」
わたしが言い淀むと、お姫様が話しかけてきたのですよ。
「まずは謝罪をさせてください。
月神様の眷属である神獣様とは気づかずに、ご無礼をいたしました。」
と言って頭を下げるのですけれど、こっちが隠していたのですから分からなくても仕方ないのですよ?
「謝ることはないのですよ?
隠して近づいたのはこちらなのですから。
もっとも、いきなり見破られるとは思っていなかったのですけど。
優秀な侍女がいるのですね。」
と言って微笑みつつ戦闘侍女の方を見るのです。
侍女の人は最初、同席するのを断っていたのですが、わたしとお姫様が許したから渋々座っているのです。
グイナルさんはお願いしたら即着席でしたけどね。
侍女の人は、褒められたのですけれど恐縮したのか、居住まいを正して黙礼をしたのです。
「言葉通り、本当に気にしないで欲しいのですよ。
そもそも、人間に接触しようとした段階で能力の隠蔽をしなかったわたしが悪いのですから。」
苦笑まじりに言うと、お姫様は明らかにホッとした様子で返してきたのです。
「そう言っていただけると、気持ちが楽になりますね。
ところで、お名前でお呼びしても?」
「構わないですよ。」
「ありがとうございます。
それでは……ミラ様はどうしてわたくしたちを助けてくれたのですか?」
うーん、お姫様たちを助けなければいけない理由は無かったのですけれど。
「これはグイナルさんにも話したのですが、月神様の本神殿に行きたかっただけなのですよ。
わたしたちはずっと森の奥で暮らしていたので、人の国や街についてはあまり知らないのです。
だから、道を尋ねようとしたのです。
あなたたちが襲撃されているところに居合わせたのは偶然なのですよ。」
「そうなのですか……。」
ちょっとだけ残念そうに相槌を打つお姫様。
何が残念なのですかね?
「あっ、失礼いたしました。
その……。神獣であるミラ様がわたくしたちの危地に颯爽と現れて助けてくださったものですから。
わたくしの苦難を見て救いに来ていただけたものかと思ってしまいました。」
ああ、そういう勘違いですか。
わたしたちとしては打算マシマシなのですけど、そんなことは分からないお姫様たちからすれば、まさに自分たちを助けに来てくれた、と思ったのですね。
なんかスマンです。打算で助けてしまって。




