アルミラージ その7 はじめての、つじぎり。
さっそく、遠回りに背後からゴブリン達に接近していくのです。
もちろん隠密はしたままで。
……ゴブリン達も頭が悪いのですね。
三方向から囲んで同時に攻撃すれば一人では対処できないのに、律儀に3匹横並びで女の子に近づいていくのです。
まあこちらとしては薙ぎ払い、ごっつぁんです! なのですが。
女の子もゴブリン達も、わたしに気づく様子も無くゴブリンの背後、その足元に到着!
ここまで来られると、どこまでいけば気づかれるかチキンレースに挑戦したくなってくるのです。
数センチ、数ミリ単位で近づいてみるとか。
目を閉じて、そっと足元に寄り添ってみるとか。
足のうらを角先で突っついてみるとか、そこまですればさすがに気づかれるのですね。
が、今はそんな場合ではないので我慢するのです。
女の子の目線はゴブリン達にキョロキョロと動いているのですが、足元には向いていないのです。
ゴブリン達は言うまでもないのですね。
では身体強化からの〜魔力切り払いなのです!
向かって左からゴブリンの足首あたりを狙って、頭を左にかたむけたまま走り抜けるのです。
ちょっと首がムチ打ちにならないか心配なのですが、そこは身体強化先生に期待するのです。
予定通り! ゴブリン達の足首を深く切り裂いて、そのまま走り抜けていくのです。
当然、隠密も再発動!
さすがに攻撃する瞬間は隠密も切れてしまうので、切り抜いた瞬間に気配を消して距離をとるのです。
ドサドサッ、とゴブリン達が地面に倒れたらしい音を背後に聞きながら、元の30メートル離れた女の子の後ろまで大回りで移動したのです。
さてさて、どうなったのですかね?
角が上に出ないように、そっと横向きに左目で様子をうかがうのです。
うん、絶賛大混乱中なのです!
そりゃあ、自分が殺されるかという時に、突然敵がバタバタと倒れたら、わけがわからなくなるのですよね。
ゴブリン達を攻撃したと思われる存在は影も形もないのですし。
でもね、さっさと自分を取り戻して、ゴブリンにとどめを刺したほうがいいのですよ?
足を潰しても口は動くのです。
今もギャアギャアとゴブリンたちは泣き喚いているのです。
他にもゴブリンが近くに居ないとも限らないですし、狼とかが寄ってくるかもしれないのですから。




