角うさぎ その1 角うさぎなのですよ!
初投稿です。
よろしくお願いします。
下手の横好きですが、楽しんでもらえたら嬉しいです。
わたしは角うさぎ。
多くのゲームで最弱か、それに近い強さしか無い序盤のやられ役なのです……。
わたしの兄弟姉妹達は、人間の畑に手を出して駆除されたり、ゴブリンに殺されたり、ハンターに狩られたりで一匹も残っていないのです。
この地に角うさぎとして生まれ落ちてから、はや数ヶ月。あっという間に天涯孤独の身になってしまったのですね。
まあ、この広い草原に親戚くらい居てもおかしくないのですけど、確かめようもないですし。戸籍があるわけでも、遺伝子判定できるわけでもないですから。
おっと、そこ行く角うさぎさん。
通りすがりの角うさぎに向かって、右前足をシュタッと上げると話しかけるのですよ。
「キュ〜キュキュ〜キュ〜?(アナタ〜は、ワタ〜シの親戚デ〜スか?)」
うん、鳴き声のニュアンスなんか通じようもないですよね。一瞥くれてどっか行っちゃったのです。残念。
まあ、わたしは害獣扱いで駆除されるのはまっぴらごめんなので、人畜無害、平穏無事、無病息災を目指して平和に天寿を全うしたいのですよ!
ただし、わたしはいわゆるアルビノというやつで、普通の角うさぎが濃い灰色っぽいマダラ模様なのに、わたしだけ真っ白なのです。
このままだと目立ってしまい、ハンターかゴブリンに捕まって美味しく(性的な比喩でなく食料的に)いただかれてしまうので、なるべく土や泥を全身に塗りたくって迷彩柄にしているのですよ。
自慢のフサフサ純白の毛も、汚くなり、ゴワゴワして不快なのですが、生き残るためには仕方がないのです。
ということで、今日も生まれた草原から一歩たりとも出ずに、もそもそと草を食べ歩きしているのです。
あっ、言い忘れてましたが、わたし、転生者です。
ゲームのやられ役を知っているとか、うさぎなのに迷彩とかしてるのはそういうワケなのです。
転生者といっても、自分が何者であったのかは全く覚えていないのですけどね?
男だったのか、女だったのか。
老人だったのか、子供だったのか。
名前も何も覚えていないのに、21世紀の日本人の知識だけはあるというアンバランスな状態。
まあ、専門的な知識はないので、普通の高校生くらいかな、と思うわけなのですが。
ちなみに、「わたし」という一人称は、前世が男か女か分からないので、どちらでも使えると思って「わたし」にしているのです。
魔物? 野生動物? の性別判定が分からないので、保留なのですね。
一応、お股に何もついていないので、この角うさぎの体はたぶんメスだと思うのですが………。
だからといって、素敵なオス角うさぎと番いになって幸せに暮らしたい、とも思わないのです。
種族としての生存率がめっちゃ低いですし。
ゴブリンとかいるし、この世界が魔法があったりするファンタジーな異世界だとしたら、一縷の希望があるのですよ。
それは、魔物ならば進化して強くなれるかもしれない、ということなのです。
上手くいけば、種族としての寿命も延びるかもしれないのですよ!
角うさぎの寿命が何年あるかはわからないのですけどね!
今まで読むだけでしたが、実際に書いてみると難しさが少し分かりました。
世の中の作家さんたちはみんなすごいのです。
2025.1.10
『この地に〜……残念。』までを加筆修正しました。