玉兎 その39 『森の癒し手』アセナの面目躍如なのですよ!
つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます♪
(*^ω^*)
感想、誤字報告、ブックマーク、星、いいね、など、いつもありがたい限りです。
これからも楽しんでいただけたら嬉しいです。
わたしはこっくりと頷くのです。
「では、ケガ人を集めてもらいたいのです。」
ラン。お前のターンなのですよ?
『かしこまりました、ご主人様。』
ランは念話でそう答えると、わたしとともに、集められたケガ人たちに向かって足を進めるのです。
集まったのは合計8人。
皆、打撲とか引っ掻き傷なのです。
打身はともかく、引っ掻き傷は感染症が怖いのですね。なにせ、腐った死体の爪で引っ掻かれたのですから。
ランにもそう伝えると、『分かりました。では切り傷、掻き傷には浄化を……。いえ、すべての負傷者に浄化をかけるべきですね。念のために。』と返してきたのです。
うむ。さすがは我が妹なのですよ。
的確な判断なのです。
そう褒めると、また嬉しそうにするのですね。控えめに。
うんうん、そんなところも可愛いのですよ。
とまあ、身内に萌えるのはこのくらいにして、真面目に治療するのです。
さすがに抱っこしたまま治療するわけにはいかないので、リルを地面に下ろすのです。
リルはやっぱり悔しそう。
何故なら、レイは変わらず肩にのっているからなのですよ。
ぶっちゃけて言えば、抱っこしたままでも魔法を使うのに何の支障もないのですけどね?
しかし、片手間で治療するかのような行動は印象が悪くなるのです。
それに、あまりに簡単に治癒魔法を使って、わたしの実力を見せるのも良くないと思うのですよ。
……まあ、ゾンビの上半身を消失させておいて、今さらかもしれないのですが。
さ、さてと、治療を始めるのですよ!
わたしとランは端から治療していくのです。
わたしはいつもの通り、手をかざして口の中でボソボソと呪文的なことをつぶやきながら魔法をかけるのです。
この程度の軽傷にはもったいないのですが、必殺(?)パーフェクトヒール!なのです。
その横では、ランが同じくパーフェクトヒールをかけているのですよ。
ランが魔法をかけるたびに青空の色の鬣が光っているのです。
鬣が触媒か焦点具になっているのですかね?
それにしても綺麗な光なのですね。
まさに『森の癒し手』アセナの面目躍如なのですよ!
『森の癒し手 森に住まう聖なる狼、アセナである証。浄化や治癒、光魔法に大幅なプラス補正。』
『叡智ある魔獣』も進化して『叡智ある聖獣』になったのです。
これでランは文字通り、勇者を導く聖獣ポジションなのです。
勇者なんて、この世界にはいないそうですけど。
魔法の効果が、術者の想像力、思考力に左右されるということは、感情や性格にも影響を受けていると思うのです。
ランはとても優しい性格ですからね?
ランがかける治療魔法は、きっと毛足長めの高級毛布に包まれているかのような心地良さに違いないのです!
その証拠にランに治療してもらっている兵士たちの顔が心地良さそうに緩んでいるのですよ。
フフフン?
優しく、麗しい美女(狼)に癒してもらえることに感謝するのですよ?
と、身内にだけ念話で話すと、三匹とも呆れた目で見てきたのですよ。なぜに?
『ミラお姉ちゃんこそ、とっても優しくてキレイなのよ?』と、リル。相変わらずのシスコンぶりですね。
『ご主人様がそれを言いますか……。』と、苦笑気味のランなのです。そうは言ってもランが優しくて美しい狼なのは事実なのですからね?
わたしは間違ってなどいないのです!
『ソウ、ママネエちゃんはヤサしいのデス!』
……だから、ママネエちゃんは……。
ハッ、として飛んで逃げるレイ。
『やめろと言っているのですよー!!』




