玉兎 その35 く、臭ぁ!!
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(*^▽^*)
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
リルたちが見たという東の方へ、四匹で向かうのです。
リルとレイは空を飛び、わたしはランの背中に跨って進むのです。
本当はわたしも飛んでいく方が速いのですけど。
しかし、この後人間たちと接触することを考えると、戦場に近づいてから変化して、戦っている横で素っ裸になって生着替えなんてしたくないのですよ。
もしそれを実行したら、少しレベルの高い痴女になってしまうのです……。
だから、ランに騎乗するのですよ。
当然、速度はランの走る速さに合わせるのですね。
進化したから、以前とは比べものにならないほど速くなっているのですけど。
戦場に近づいていくと、わたしの鼻に強烈な腐敗臭が……。
く、臭ぁ!!
鼻が、鼻が曲がりそうなのです!
ランも眉間に皺を寄せて耐えているのですよ!
『ご、ご主人様、この臭いはいったい…。』
『はっきりとは分からないのですけれど……。
おそらくはアンデッド、ゾンビやグールなどの腐った死体の魔物ですかね?
索敵範囲が狭くなるのは痛いですが、超嗅覚は切るべきですね。
リル、かわりに索敵を任せるのです。』
『承知いたしました。お役に立てず申し訳ありません。』
『分かったの、ミラお姉ちゃん!
リルが代わりに敵を見つけるのよ!』
超嗅覚を切っても臭いものは臭いのです。
慣れるまでは集中しづらいのですよ。
何かいい手は……。
そうだ!
『リル、ラン、レイ。
臭いが気になるようなら、風魔法で周囲の臭いを遮断する結界を張るのです。
魔法を一手使うのは痛いですが、集中できないよりはマシなのですよ。』
『助かります、ご主人様。
この臭いの中で戦うのは、なかなかに辛いですから。』
『風魔法ならリルにお任せなのよ?』
『レイはソンナにキニナラないのデス。
クサいコトはクサいケド。』
……まあ気にならないならそれでいいのですが。
と、森がきれるのですね。
街道が見えてきたのです。
わたしたちの目に入ってきたのは。
五、六台の馬車、数騎の騎馬と歩兵、そしてその周りから襲いかかっている腐った死体の群れなのです。
馬車は普通の荷馬車が大半ですが、中央に一際作りが高価そうなのが一台。
貴族とか大商人とかが乗ってそうなのです。
それを守っている騎馬や歩兵は護衛といったところですか。
護衛は全部で10人ほど。練度はまあまあ。
一対一なら腐った死体どもは敵ではないっぽいですが、数が多すぎてカバーするだけで精一杯なのですね。
それに、アンデッドは速度や思考力などないのですけれど、力だけはあるのです。
さらには、コアである魔石を潰さないと、腕を切ろうが足を切ろうが動き続けるという、厄介な連中なのですよ。
ただし、光魔法や神気には滅法弱いのですがね。
つまり!
神獣であるわたしを始め、わたしたちモフモフ角うさぎパーティは奴らにとって天敵といえるのです!
さあ、一匹残らず成仏させてやるから、ありがたく思うのですよ!




