アルミラージ その6 テンプレ少女。弱っ!
ああもう、なんでこういう時に限ってテンプレが起きるのですかね!
振り返ると、冒険者(仮)の女の子を挟んで反対側20メートル程先に、ゴブリンが3匹現れたのです。
ちなみに、わたしから女の子までの距離は30メートルくらいあるのです。
流石のわたしでも人の腰くらいある草むらの中、50メートル先の敵までは見つけられなかったのですよ。
ちょっと体が大きくなったとはいえ、うさぎの背丈からの目線なのですから。
女の子は腰の小剣を抜いて構えているのですが、経験のなさがバレバレなのです。
へっぴり腰で片手で持つはずの小剣を両手で握っているのですね。
剣先が震えているのがこの距離で見えるって、どんだけびびっているのですか。
うーんうーん、関わりたくはないのです。
ないのですが。
放っておくのも寝覚めが悪いのです。
とりあえず、隠密したまま近づいていくのです。
ある程度近くにきたところで、自分以外の人(?)達に初めて鑑定するのです!
人族 斥候lv3 ♀
名前 リサ
HP 30
MP 20
STR 24
VIT 20
AGI 32
MGI 18
スキル
逃亡
称号
Gランク冒険者
えぇ〜〜、弱っ! なのです。
これで良く街を出ようと思ったのですね。
まあ採取して、危なくなったら逃げれば問題ないのですか?
ついでにゴブリンさんも鑑定するのです。
ゴブリン lv5 ♀
名前 無し
ランクG
HP 23
MP 10
STR 25
VIT 17
AGI 24
MGI 8
スキル
なし
称号
なし
これまた弱っ! なのです!
てゆーか、お前もメスなのですか!
これより弱い角うさぎって、まさに魔物界の最底辺なのですね。
それはともかく、一対一なら女の子でも勝ち目はありそうなのです。たとえ三対一でも立ち回り方次第では勝てなくもなさそうですが。負けそうなら逃げればいいわけですし。
敏捷性でゴブリンに勝っている上に、逃亡のスキルまであるのですからね。
でもねぇ、なんかもう、いかにも経験なさそうですし、そもそも逃げるという選択肢すら浮かんでいなさそうなのですよ。
さっさと逃げれば怪我せずにすむのに。
……隠れて援護をしようにも、わたしには遠距離攻撃手段がないのです。
迷彩を施したとはいえ、進化して黒く変わった角までは隠せないですし。
隠密でゴブリン達の背後にまわり、バックスタッブで一撃離脱のヒットアンドアウェイすれば、ワンチャン、わたしの存在がバレずにいけるのですかね。
角うさぎ時代ですら、魔力撃で瞬殺してのけたのです。
アルミラージに進化して超〜強くなった今のわたしなら、隠れて近づいて薙ぎ払い、3体の足を切るくらいは出来るのではないですか?
機動力を奪ってしまえば、あとは逃げるなり、とどめを刺すなり好きにしてもらえばいいと思うのです。
よし! そうと決まれば、さっさと済ませるのです!




