玉兎 その26 武器加工。(本当はわたしの角なのです。)
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つたない作品ですが、これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
続いて武器屋に移動するのですよ。
リルのヴォーパルホーンの鞘を買った店に行って、加工してもらいたい物がある、と告げるのです。
それは、わたしがアルミラージだった時の、折られた角なのです。
人間の姿で行動する時に、護身用の武器ぐらい持っていた方がいいと思うのですよ。
もちろん、そんな物が無くてもわたしの強さには変わりないのですけどね。
なにしろSランクなのですから!
それでも、余計なやっかい事に巻き込まれないように、最低限の自衛はするべきなのです。
ぱっと見では、わたしの戦闘能力は分からないのですからね。
そして、どうせ持つなら思い入れのある武器が欲しいですし、そうするとうってつけの素材があるじゃないですか!
これは使うしかないのです!
という訳で、店のカウンターに黒い角を置き、髭もじゃの店主に見せるのです。
角の長さは30センチくらい。
オークキングに三分の二くらいに折られたので、マックスの長さではないのですね。
この店主は背も小さいですし、ひょっとしてドワーフ的な人なのですかね?
だとすれば、加工してもらえたらラッキーなのですが。
ざっくりと品揃えを鑑定しても、そこそこ良い武器が置いてあるのです。
具体的には、最高品質とまではいかなくても、Bランク相当っぽい武器がゴロゴロ転がっているのです。
もちろん値は張るのですが、地方都市でこの品揃えは悪くないどころか、賞賛に値するのですよ。
角を見た髭もじゃ店主は、「この角をナイフにすればいいのか?」と聞いてきたのです。
「ええ。わたしたちが森で看取った従魔の遺品なのですよ。
身につけて持ち歩きたいので、加工をお願いしたいのですが、いかがですか?」
またまた、しれっと嘘を吐くわたし。
針なら何万本飲むことになるのやら。
まあ、嘘をつかないと約束したわけではないのですけどね。
「フン。依頼なら別に構わんがな。
しかし、こんな形状の角は見たことが無いな。
いったいどんな魔物だったんだ?」
うーん、まあそれくらいなら答えてやるのですか。
「わたしも名前までは知らないのですが、角うさぎの亜種なのですよ。
黄色の毛並みだったのです。」
「この角は十字形に尖らせているが、こいつはお前さんがやったのか?」
「いいえ。おそらくはわたしの祖父が研いだのだと思うのです。
物心ついた時にはもう、その形だったのですよ。」
髭もじゃ店主は自分の髭を撫でながら「ふむ。」とひとつ頷いたのです。
「分かった、引き受けよう。
特殊な形状だが、面白い武器になるじゃろう。
柄を付けるから多少刀身は短くなるが構わんか?」
おお!引き受けてもらえるのですか!
内心の喜びを表に出さずに答えるのです。
「ええ、構わないですよ。
それでは、よろしくお願いするのです。」
あとは料金の相談をして、その場を後にするのです。
お代は銀貨5枚。
素材持ち込みで、金属よりも加工が簡単だからお安くなったのですかね?
しかも明日には出来ているとのこと。
よし!これで思い残すことなく、序盤の街を離れられるのですよ!




