玉兎 その18 か、可愛いのです!
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つたない作品ですが、これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
(๑>◡<๑)
さすがにマスクしたまま食事はできないので外すのですが。
普通に食堂としても営業しているため、宿泊客以外にも客がいるのですよ。
目立ちたくないので隅っこの席に移動して、周りには背中を向ける位置取りをするのです。
で、軽く気配を消すのです。
目をこすり、首を捻るガルドたち。
目の前にいても、存在を感じにくいので不思議なのですね。
まあまあ、気にしないのですよ。
料理が冷めないうちにいただくのです!
ご馳走様なのです!
ではではガルドたちとは、また明日なのですね。
いざさらば、なのです!
ランの従魔舎に入る前から、ピイピイと鳴き声が聞こえるのですよ。
元気になったようでよかったのですね。
念話で来訪を告げて中に入るのです。
もっとも、入る前から二匹ともわたしの接近には気づいていたのですけど。
食堂を出てから気配は隠していないですし。
『お待ちしておりました、ご主人様。』
『ミラお姉ちゃん、おはようなの!』
うむうむ。ご苦労様なのですよ、ラン。
リルもおはようなのです。
雛カラスが、わたしが来たことに気づき、こっちに向かってヨタヨタと歩いてくるのですよ。
……フワフワの灰色産毛が柔らかそうなのです。
わたしも近寄ってしゃがみ、右掌に載せてみるのですが。
一心にわたしのことを見つめている、つぶらな瞳。
か、可愛いのです!
左手で頭を撫でたり、喉のあたりをくすぐったりすると、うっとりと目を閉じるのですよ。
目覚めたてならお腹がすいているのですかね?
餌といっても、オークの生ハム、オーガの生ハム、トロールの生ハムくらいしか無いのですが。
アイテムボックスから、とりあえずオークの生ハムを一切れ取り出してみるのです。
猛禽類なら兎も角、カラスの雛が食べるものかは分からないのですけど、他に無いのだから仕方ないのです。
リルの角を借りて小さく切りとり、雛カラスに与えてみると、上を向いて嘴を動かして飲み込んだのですよ。
よしよし、ちゃんと食べたのですね。
食べなくなるまで餌を与えたら、雛カラスに話しかけるのです。
わたしたちが育てることは、ほぼ決定事項ですが一応、この子にも確認しておくのですよ。
『わたしはミラ。
人間に捕まっていたお前を助けたのはわたしなのです。
わたしの言っていることが分かりますか?』
聞いてみても、不思議そうにこっちを見るだけなのですね。
カラスは賢い生き物ですが、流石に雛鳥に難しい話は無理ですか。
『わたしは今は人間の姿ですが、本当は角うさぎなのですよ。
ここにいる角うさぎはリル、狼はランといって、わたしの群れの仲間、家族なのです。
お前にも名前をつけて、群れの一員として迎えてもよいと思うのですが、お前は自分の親鳥がどうしているか分かりますか?』
親という言葉に反応があったのです。
なんか、しゅんとして落ち込んだ様子を見て、わたしは色々と察したのです。
やはり、攫われる時に殺されるかしたのですかね。
そもそも、貴重な幻獣というなら、親鳥だって捕まえていてもおかしくないのですから。
地下牢に居なかったということは、抵抗して殺されたか、それとも捕まる前に生存競争に負けたか。
……おそらくは、この子も既に天涯孤独の身なのですね。
ふぅ。なんだか、なし崩しに群れが大きくなっていくのが若干不安なのですが、この子については元より覚悟の上で助けたのです。
それでは、いつものように名前を付けて、家族に迎えるのですよ!




