間話 その11 ある日の三匹 ……おやすみなさい、なのです……。
最近、お話が殺伐としていたので、箸休め的にほのぼのした間話をどうぞ。
というか、作者が書きたくなったので仕方ないのです。
つたない作品ですが、いつも読んでいただきまして、ありがとうございます♪
ヾ(๑╹◡╹)ノ"
その日、わたしたちは訓練をひと休みして、森の中ほどにある開けた広場に来ていたのです。
大木が老齢で倒れた後、まだ若木が育たずにいるので、その場所だけ日当たりが良い草原になっているのですよ。
なんだか生まれた場所を思い出してほっこりするのですね。
その広場の真ん中には、朽ちた切り株と大きな岩があり、燦々と降り注ぐ日の光を浴びているのです。
森の中の開けた一角。
日当たりも良く目立つ場所。
一見すると敵に見つかりやすく危険なのですが、それ以上に素晴らしく適した場所なのです。
何に適しているかというと。
それは………。
『日向ぼっこ』なのですよ!!!
フッフッフ。
ここには前々から目を付けていたのです。
しかしながら、まだ周囲の探索を終えていなかったので今日まで待ったのですよ。
『日向ぼっこ』中に邪魔されたくはないですからね!
周辺の魔物を掃討したし、今日は久々の休養日にしたのです。
さあ、思う存分『日向ぼっこ』するのですよ!
いいですね?リル、ラン?
『ミラお姉ちゃんとランちゃんと一緒に日向ぼっこするの⁈
嬉しいの!リルは日向ぼっこするのよ!』
『それは素晴らしいご提案ですね。
わたしも、もちろん賛成いたします。
……それと、その……。
いつもご主人様には撫でてもらってばかりですので、たまにはお返しに毛繕いさせていただけないでしょうか?』
うん?わたしの毛繕いをしてくれるのですか?
もちろん構わないですけど。
『さすがはランちゃん!
それはとっても、すうっごく、いい考えなのよ!
リルも!リルもお姉ちゃんの毛繕いしたいのよ!!』
え、ええ〜?
そんなに毛繕いしたいものなのですかね?
わたしはやや引き気味なのですけど、まあ親愛を表すコミニケーションのひとつと思えば普通のことなのですか?
いつもは、わたしからしか撫でたりしてないですし。
それじゃあ、まずは日に当たって温まっている岩に登って、みんなで日向ぼっこなのです!
わたしを挟んで、右にリル、左にランと並んで寝そべるのですよ。
暖かい日差しを浴びて目を細めていると眠気が襲ってくるのです。
しかし、周辺を掃討したとはいえ、なんの遮蔽物もない森の中で眠るわけには……。
『よければお休みください、ご主人様。
お眠りになっている間は、わたしたちが周囲を警戒いたします。』
『そうなのよ、ミラお姉ちゃん。
お姉ちゃんには勝てないけど、リルたちだって索敵はできるのよ?』
お前たち……。成長したのですね。
それなら、その言葉に甘えさせてもらうのですかね。
フフッ。わたしだけ寝させてもらってすまないのですよ。
でも……、愛する姉妹に囲まれ、暖かい日差しを浴びて眠るなんて、こんなに幸せなことはないのです。
……おやすみなさい、なのです……。
『お眠りになったようですね。』
わたしは、隣りで眠るご主人様を目を細めて見つめます。
普段から、わたしたちの安全を第一に考えてくださる方ですから、このひと時だけはゆっくりとお休みしていただきたいものです。
……それでは、ご主人様を起こさないように、お背中を毛繕いさせていただきますね。
『うん。お姉ちゃんは寝ちゃったのね?』
ミラお姉ちゃんと一緒にくっついて寝るのは、とっても気持ちいいの!
寝てるお姉ちゃんから優しい気持ちも伝わってくるし。
お姉ちゃんは、いつもリルたちのことを考えてくれてるから、たまにはお返ししたっていいと思うのよ?
お姉ちゃんを起こさないように、ランちゃんと交互に毛繕いするの。
いつもありがとう、って思いながら。
……日が傾き、目を覚ましたわたしは、リルとランの唾液まみれでカピカピになった自分を発見するのですよ。
お前たち……毛繕いしてくれるのはありがたいのですが、ちょっとやりすぎなのでは?
……まあ、その、とても気持ちよかったのですけどね!




