玉兎 その7 ヴォーパルホーンの真価をまだ見せていないのですよ。
ブックマーク登録、星評価、いいね、誤字報告、ならびに感想を送っていただきまして、ありがとうございます♪
m(_ _)m
つたない作品ですが、これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
(*^_^*)
さて、風船おやじに今までしてきた悪行を紙にでも書いてもらうとしますかね。
というか羊皮紙でしたか?この世界にあるのは。
まだ植物紙は発明されていないか、発明されていても広まっていないかなのですが、とにかくないのだからある物を使うしかないのですよ。
金持ちの私室か、執務室っぽいからあると思うのですが。
いや、指示して自分で探させればいいのですね。
それでは早速。
『おまえは、今までしてきた悪行の全てを紙に書き出すのです。』
と、念話で命令すると、フラフラと執務机?に近づいて引き出しを開けたのです。
そして中から未使用の羊皮紙の束を取り出し、インク壺に羽ペンをつけて、サラサラと、いや羊皮紙に羽ペンではザリザリ?というかガリガリと書き出すのです。
「旦那⁈あんた何やってんだ⁈」
黒ずくめ2号が驚いているのですが、風船おやじは何も聞こえないかのように書き続けるのですよ。
フフフン♪
無駄無駄。今のおやじに何を言っても意味がないのです。
なにせ、このわたしの支配下にあるのですからね!
そんなことより、よそ見してる暇があるのですか?
リルのスピードはまだまだ上がるのですよ?
「うわっ!なんで角うさぎがこんなに素早いんだよ!
前に戦った鳥の魔物より速いじゃねえか⁈」
ふむふむ、うさぎに狼、ゴブリンにオークがいるのですから、鳥の魔物がいてもおかしくないのですよね。
黒ずくめ2号もかろうじて致命傷は防いでいるのですが、手足は傷だらけなのですね。
しかも、リルはまだこの男にヴォーパルホーンの真価を見せていないのですよ。
結末は分かりきっているのです。
ビシャビシャッ
避けたと思った斬撃が避けられず、見えざる刃に首を半分くらい切られ。
吹き出した血が、音を立てて床を濡らすのです。
驚きで目を見開き、しかしすぐにその目から光が失われ、倒れ伏すのですよ。
フン!
リルの経験値になってくれて感謝するのですよ!
『ミラお姉ちゃん!リル、やったの!ちゃんと勝ったのよ!』
褒めて褒めて、と言わんばかりに近づいてくるリルなのです。
よしよし、よく我慢したし、よく殺ったのですよ。
偉い偉い。いい子いい子なのです。
サリサリと舌で毛繕いしてあげると、いつものように目を細めてうっとり顔になるのですね。
あとは、風船おやじにとどめを刺して、この屋敷の前にでも放置するのですかね。
もちろん、悪行日記も一緒に置いておけば完璧なのです!
あとは人間たち次第。
余罪を捜査しようが、風船おやじの財産を接収しようが好きにするのですよ。
わたしは正義の味方でも、ヒロインでもないのです。
今回のことは、あくまでも振りかかる火の粉を払っただけ。
悪事を暴いたのはついでなのですからね。




