ヴォルパーティンガー その79 月神宮にて。
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(о´∀`о)
つたない作品ですが、これからも楽しんでいただけたら幸いです。
ハッとして目を開けるとそこは………どこですかね⁈
あれっ?さっきまで神殿にいたはずなのですけど……。
周りの雰囲気は神殿に似ているのですが、その空間の広大さも、あたりに満ち満ちている神聖さのレベルも違い過ぎるのですよ!
ここはまさか?
「当たり!察しがいいね!さすがは転生しただけのことはある!」
声に振り返るのですが、わたしはいつのまにか元の姿、ヴォルパーティンガーに戻っているのです。
えっ?えっ?なんで?いつの間に⁈
そして目の前には銀色巻毛に蒼い瞳のイケメンが。
あなた様は、もしかして……?
「そう!こうして会うのは初めてだから、はじめましてかな?
僕が月神ルーナラーナだよ。
よろしくね。婚約者のミラちゃん?」
ブフッ!
こ、こここ、婚約者とか、いきなり言わないで欲しいのです!
わたしにも心の準備がですね⁈
「あははは!ゴメンゴメン!
ミラちゃんの反応が面白くて、ついついからかいたくなってしまってね。
まあまあ、機嫌直して。ね?」
……まったく、変わらない軽さなのですよ。
ホントに神様なのですか?この人は。
気を取り直して。
見たところ、大きさといい、あたりに満ちた清々しい神気といい、ここが月神宮なのですか?
「そうだよ、ミラちゃん。
よく来てくれたね、歓迎するよ!
と、言いたいところだけど、君ならもう気がついているんじゃないかな?」
わたしが実体ではない、ということですか?
「そういうこと。
君の本当の体は、まだ神殿で跪いたままだよ。
今回は神殿を利用して君の心、精神だけ招かせてもらった。早く会いたかったからね。」
は、早く会いたいとか、また小っ恥ずかしいことをサラッと言うのですね……。
いち角うさぎとしては、そんなに好かれる覚えはないのですが?
「君が覚えていなくても構わないよ。
僕が覚えていれば、それでいいんだ。
幾星霜を経て、ようやく見つけたんだからね。
と、これじゃ分からないよね?
まあ、僕の気持ちに嘘はないことだけは、信じて欲しいかな。」
そう言って歩み寄り、わたしを抱き上げるのですよ。
言葉の意味がつかめず、ポカンとするわたしを気にせず。
ヴォルパーティンガーの姿のわたしを抱きしめ、背中を撫でるのです。
ふわぁあぁぁぁん……!
ヤバイ!
めっちゃ気持ちいいのです………!
こ、これはイカンのです。
中毒になってしまうのですよ!
リルやランのお返し毛繕いとも、また違うのです。
なんかこう、ルーナ様の心が、気持ちが流れてくるかのような。
暖かい。幸せな気持ちになってくるのです。
思わずルーナ様の肩に頬ずりなんかしてしまうのですよ。
角には気をつけながらですが。
ポロッと涙がこぼれたのです。
あれっ?
なんで涙が。別に悲しいわけでもないのですけど。
……なぜ?
どうして、わたしはこんなにも切なく暖かい気持ちになるのですか?
ルーナ様に会うのは初めてのはずなのに。
心の奥底が、揺さぶられるのです。
なぜなのですか……。




