ヴォルパーティンガー その78 『やっと来てくれたね。待ってたよ、ミラちゃん!』
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今日もお休みで、ゴロゴロしながらポチポチと書きこみが進みました。ストック貯金が少し貯まったので二回投稿します。
つたない作品ですが、これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
(#^.^#)
中に入るとそこは、円形の、天井の高い広い空間だったのです。
椅子の類いは無く、左右から奥の壁にズラリと神様の像らしきものが立ち並んでいるのです。
参拝客らしき人たちが、思い思いにそれぞれの信仰する神様の像の前に跪き、手を組み、目を閉じてお祈りしているのです。
なんとも、神社の境内のような森閑とした空気が漂っているのですね。
しかし、神様の像など、この世界では初めて見たのですが、誰が誰だか分からないのですよ。
ここは素直に聞いておくのです。
「すみませんが、神殿に来るのは初めてなのです。
月神様の像はどちらなのですか?」
「あちらの奥の、正面から右の隣、太陽神様の横ですよ。若い男性の姿のお方ですね。」
ありがとうなのです。
ついでに月神様について聞ける人を紹介して欲しいのですが、いるのですかね?
「感謝するのです。
それと、どなたか月神様について詳しい方はいらっしゃるのですか?お話を聞きたいのですけど。」
「うーん、生憎と月神様にそれほど詳しい方はいないですね。この神殿の責任者である神官長は、太陽神様の信徒ですので。他の神官も太陽神様にお仕えする者が多いのですよ。残りの者は地母神様ですね。
お役に立てず申し訳ありません。」
神様に仕えるだけあって、丁寧な物言いなのですね。
感謝を伝えると、ニッコリ笑って「当然のことをしただけですから。」と言って去っていったのです。
まだ末端しか分からないですが、この世界の神職の好感度はまずまず高めなのですよ。
上層部は分からないですが。
どこの国、世界の歴史でも宗教がらみは上から腐っていくと相場は決まっているのですから(偏見)。
腐るのは宗教だけではないのですけどね。
さて、それでは月神様の像にごたーいめーん、なのです。
クルクル巻毛、短髪の若い男の姿。
秀でた額から伸びた筋の通った鼻。
筋肉盛り盛りではないのですが、均整のとれた細マッチョなのです。
古代ギリシャかローマ人のような、たっぷりした布を纏っているのですが、足元には一匹のうさぎさんが。
本当に眷属扱いなのですね。角は無いですけど。
神像の前まで進み、台座の前に跪き。
傍らにリルを下ろし。
手を組み、目を閉じ。そして祈るのです。
ん?祈るって、何を祈ればいいのですか?
まあいいか。とりあえず、心の中でルーナ様に話しかけるのですよ。
……やっとここまで来れたのです。
なるべく早く会いに行くので、待っていてもらえると嬉しいのです。
ところで、月神宮ってどこですか?
と。そこまで考えたところで、頭の中に声が。
『やっと来てくれたね。待ってたよ、ミラちゃん!』




