ヴォルパーティンガー その67 別れは兎生にはつきものなのです。櫛と手鏡
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つたない作品ですが、これからも楽しんでいただけたら嬉しいです。
それからの日々はあっという間に過ぎたのです。
毎日、森から村に通い。
村長たちから異世界講座を聞き。
日替わりで村の人に昼ごはんを食べさせてもらい。(ゴチになるのです!)
子供と遊んで帰るのです。
その間、褒賞金と従魔の首輪に認可状、あと感謝状的なものが届けられたのです。
鑑定したのですが、首輪は魔道具的なものではなく、ただの首輪なのですよ。
一応は、公的機関から発行された証拠のようなものなのですが、これならいくらでも偽造できるのでは? と思うのです。
ですが、その辺の事情はどうでもいいのですね。
別に内政改革とかしないですし。
責任も義務もないのですから。
褒賞金は銀貨にして38枚。
これが多いのか少ないのかは分からないのですけど、内訳は、片目が20枚で、残りは一人一枚だそうです。
えーと、銀貨一枚がだいたい10,000円〜50,000円くらいなので、いくらなのですか?
38万から190万くらいですか。
幅があるのはしょうがないのですよ。
現代日本の物価感覚には当てはめづらいのですから。
それでも、まあだいたい100万前後はもらったと思っていいのですかね。
これでしばらくは街中でも衣食住には困らないのですよ。
しかし、総勢19人で攻められては、普通の村なら太刀打ちできないのも仕方ないのです。
たまたまガルドや、わたしたちがいて良かったですね。
一週間も過ぎたのですかね?
そろそろ講座を修了して、街を目指すのですよ!
そう告げると村長の奥さんから、「もう行っちゃうのかい? まだまだ居てくれても全然構わないんだけど……。」と言われたのです。
歓待はありがたいのですが、わたしたちは先に進まねばならないのです!
謝絶すると、出発前に村に寄ってくれるようにとお願いされたのです。
なんだろうと思ったのですが、言われた通りに出発当日の朝、村に行くと大勢のお見送りとともに、たくさんのお土産をもらったのですよ!
中身は水袋や小物入れなんかの細々とした物や、大事に使われていたであろう櫛や手鏡、それに道中で食べてくれと、パンに塩漬け肉までくれたのですよ。
他はともかく、大切にされていたっぽい櫛や手鏡は受け取れないのです。
特に文明度が低い世界では鏡は高価な物。
時々差し入れたオークの生ハムでは釣り合わないのです。
断ろうとしても、奥さんに押し切られてしまったのですよ。
曰く、「年をとったわたしよりも、若くて綺麗なお嬢さんに使われたほうが、きっと櫛も鏡も幸せでしょう? だから持って行っておくれよ。」と言って、頭を撫でられたのです。
別れ際には大きな胸でハグまでしてくれたのですよ。
……不覚にもジーンときてしまったのですね。
もし、人間のお母さんがいたら、こんな感じなのですかねぇ……。
ま、まあ、別れは人生、いや兎生にはつきもの。
しんみりしても仕方ないのです!
また、立ち寄ることでもあれば、こっちもたくさんお土産を持ってきてやるのですよ!
期待して待っているのです!




