ヴォルパーティンガー その57 鶴の恩返しじゃないんですから!
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つたない作品ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
( ´ ▽ ` )ノ
赤黒く輝く石を見て、ようやく現世に戻ってきたガルドくん。
「こりゃあ魔石じゃないか!
それも大きさからいって最低でもDランク、下手したらCランクはあるぞ!
あんた、これをいったいどうやって……。」
いや、どうやってもなにも、普通に狩っただけですが?
「わたしたちが森で狩った魔物の魔石なのですよ。
魔物の肉は食べて、毛皮が少しと魔石は多く残っているのです。
わたしはこれから街に出なければいけないので、この魔石を換金して欲しいのですよ。
できなければ、換金できる場所を教えて欲しいのです。」
と言うと、ガルドは自分の胸を勢いよく叩き、こう請け負うのです。
「魔石の買い取りなら、ギルドでやってくれるぜ!
なんなら俺たちが案内してやるよ!
そのくらいの恩返しはさせて欲しいんだが、どうだ?」
ふーん、なんだか善意だけで言ってるわけではない雰囲気だけど、下心だけでもないのですね。
善意7割、下心3割といったところですか。
まあ、どのみち魔石の販路は必要なのですから、大人しく受けておくのですかね。
「分かったのです。ここでの用が済んだら案内をお願いするのです。
ところで、この魔石は珍しいものなのですか?」
と聞くと、「特段、珍しいってわけじゃない。上位の冒険者なら普通に手に入るものだからな。もちろん魔物が強くなるほど倒すのが難しくなるから、あまり量は出ないらしいぜ?」とのこと。
危ない危ない、余りものの魔石だけで100個を超えているのですよ。
まとめて売ったら騒ぎになるところだったのです。
ガルドよ、褒めてつかわすのですよ?
「ありがとう、ガルド。よく分かったのです。」
名前を呼んでやると、また顔を赤らめて黙るのですよ。
ちょっと分かりやすすぎるのでは? と思うのですが、まあ他人事ですからね。
放置でいいのですよ、放置で。
で。
改めて村長さん(確定)と奥さん、冒険者パーティのガルドたちが集まって、今後の相談をするのです。
内容は、
1.わたしの教養講座について。
2.盗賊たちの処遇。
3.褒賞が出るなら、その分け前。
など、なのです。
1については、すぐ決まったのです。
わたしは日帰りで村に通い、村長他、村人たちにこの世界の人間社会の常識と、月神様の情報を教えてもらうのです。
当初、奥さんが家に泊めてくれると言い出し、村長やなぜかガルドまで賛成したのですが、断ったのです。
何故なら、わたしは一日のうち12時間までしか変化していられないのですから。
夜中に何か起きても対応できないのですよ。
部屋に閉じこもって、「けっして見てはいけないのです」って、鶴の恩返しじゃないんですから!
謝絶して、森から通うことになったのですよ。
ランの背中に乗って。
念話で、そういうことでいいか聞いたら、『喜んでお送りいたします!』だそうですよ。
ランは、自分が役に立てる場面が大好きなのですよね。
これも忠誠心のなせるわざ、なのですかね。




