間話 その6 ヴォーパルバニー やっとご褒美はもらえたけれど……
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素人のつたない作品ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
キン!
ギャリリッ!
もうっ!
追いつめたと思ったのに、また外したの!
リルはいつも全力で戦っているのに、お姉ちゃんはまだまだ余裕たっぷりなのよ?
リルだってヴォーパルバニーに進化して、前よりもずっとずっと強くなったはずなの。
なのに、一回も攻撃が当たらないなんて。
これじゃあご褒美もいつもらえるか分からないの!
でもね?
今日のリルには切り札があるのよ?
じゃーん!
金剛力と金剛体なの〜♪
これを使えば、ちょっとの間だけど力と体力が二倍になるの!
ミラお姉ちゃんも持っているからおそろいなのよ♪
昨日オーガの魔石を食べたら、スキルが進化したみたいだったから、ランちゃんにこっそり教えてもらったの!
まだミラお姉ちゃんには言ってないから、奇襲するのに使えると思うのよ?
今日こそは、ミラお姉ちゃんに当てて、ご褒美をもらうの!
全速の半分くらいの速さでお姉ちゃんに近づくの。
ミラお姉ちゃんは、リルが何か仕掛けてくるのが分かっているみたいなの。
それでも、なんだか楽しそうなのよ?
お姉ちゃんは、リルが強くなったり、賢くなったりするのを見るのが、楽しくて嬉しいって言ってたの。
今も楽しんでくれているのかなぁ?
もしそうならリルも嬉しいの!
お姉ちゃんの近くまで行くと、地面が横一線に赤くなったの。
これは覚えているのよ?
アースウォール? の魔法なの!
目の前に土の壁が高く立ち上がっていくの。
いつもなら、そこに足をかけて飛び越えるのだけど、今日は違うの!
壁にぶつかるまえに、金剛力、金剛体発動! なの!
さらに、身体強化も全開!
頭を下げて、角から壁に突撃するの!
抵抗もなく角が刺さった後、頭突きで土の壁が前の方に砕けて吹き飛んだの!
壁の向こうには、ミラお姉ちゃんがビックリした顔でこっちを見ているの。
うん! 驚かすのは成功したの!
でもでも、それだけじゃ足りないの。
しっかり一撃当てて、リルの成長を見てもらうの!
奥の手、その2なの!
風魔法を使ってスピードを上げて、全速全力で突っ込んでいくの!
避けずに、自分の角で攻撃を受ける止めるつもりのミラお姉ちゃんなの。
それが狙いなのよ?
金剛力はまだ切れていないの。
わざとお姉ちゃんに受けさせて、力で押し切るの!
ガギン!
角と角がぶつかって大きな音を立てるの。
上から押さえ込んで動けなくすると、ミラお姉ちゃんの目が驚きで大きく見開いているの。
このまま押し切る! と思ったのだけど、ミラお姉ちゃんの目がニヤリと細められたの。
すると、ミラお姉ちゃんの周りの地面だけ赤くなったの。
これは……落とし穴の魔法なの?
お姉ちゃんはわざと自分を落として動けない場所から逃げる気なの?
そうはさせないの!
リルもわざと力を抜いて、お姉ちゃんのバランスを崩すの。
急に力が抜けて、前のめりになるお姉ちゃんなの。
そこを今度は角じゃなく、くるりと回転して後ろ足で蹴るのよ!
バシッ!
慌てて跳ねて逃げようとするけど、お姉ちゃんの右足にしっかり当たったの!
やったのよ!!
初めてミラお姉ちゃんに攻撃らしい攻撃が当たったの!
お姉ちゃんも驚いたみたい。でも嬉しそうにこっちにくるの。
『リル。よくやったのです。
軽くとはいえ、このわたしに攻撃を当てるとは大したものなのです。
成長したのですね。わたしは嬉しく思うのですよ。』
嬉しいの! お姉ちゃんに褒められたのよ!
これでご褒美がもらえるの!
次の日は探索や訓練をお休みにして、一日中添い寝したり、撫で撫でしてもらったのよ?
とっても幸せだったの。
……でも、そのまた次の日には、身体強化をしたミラお姉ちゃんに泣かされたの…………。
……お姉ちゃんって、ちょっとだけ大人げないと思うのよ?
進化したリル視点です。いかがでしょうか?
もうちょっと幼い感じを出したかったのですけど、上手くいかないものですね。
あと、少し長くなってしまいましたが、四捨五入すれば、千文字ということでご勘弁を。




