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60話 ほのぼのとした昼下がり

 グランが捕らえられた事を皮切りに、ダルフは壊滅した。

 

 行動に移したら、案外アッサリとしたものだった。

 朝一でアジトに潜入してからと言うもの、昼過ぎにはほとんどのメンバーが捕らえられたのだ。

 

 私たちは少し遅めの昼食をとった。

 協会の関係者にも誘われたが、仲間内で食べる事にした。

 

「アラムの名物を食べたい!」

 

 と言った私の言葉に一同賛成してくれたし、リューネに至っては、


「私はお酒が飲めればどこでも良いわよ。」

 

 という事だったので、現在宿の横にある定食屋に入っている。

 インドチックな場所なのでカレーのイメージしかなかったが、アラムの名物は全く違った。

 

「この玉子ライス定食屋を2つと、特性卵かけ定食屋を2つ、それから竜殺しを1瓶と、フルーツジュース2つ。」

 

 レイルが全員の希望を確認して注文する。

 そう、ここアラムは卵料理が名物らしいのだ。

 私の想像している鶏の卵とは違うらしく、なんでもシムルグと言う怪鳥の卵らしい。

 

 猛禽類の頭に美しい虹色の羽を持ち、その足は犬の様だと言う。

 全く想像がつかないが、家畜として買われているらしい。

 一羽のサイズは2メートル近くあり、卵も中々に大きい。

 1日に複数個の卵を産卵するらしく、商業発展の基盤となっている様だ。

 

 ちなみに熱い気候で、火精霊の加護がなければ繁殖を行わないらしい。

 その為他の国では生産が出来ないのだ。

 

「でも怪鳥の卵なんて、全く味の想像が付かないわ。

 普通の卵とどう違うのかしら?」

 

「まず、大きさとボリュームが全然違うわよ。色は濃い橙色で、味は甘みがあって滑らか。

 それに思った程くどくないの。

 目玉焼きなんて最高よ!ただサイズがサイズなだけに、それだけでお腹いっぱいになるんだけどね。」

 

 ヴェラが丁寧に答えてくれた。

 卵かけご飯定食屋ってのはそのままだろうけど、玉子ライスってのはオムライスなのかな?

 

 ちなみに私とシャルが玉子ライス、ヴェラとレイルが卵かけご飯だ。

 リューネはあの竜殺しと言うお酒に相当はまっている様だ。

 

 自分でも大量に購入しているはずなのだけど、店でまで同じものを頼むんだから相当なんだと思う。

 

 しばらくすると飲み物が運ばれてきた。

 私とシャルはジュース、他の三人は竜殺しをコップに注いだ。

 

「それじゃあ、ミレリアの無事とダルフ壊滅を祝って・・・かんぱーい!」

 

 リューネが音頭をとって昼間の宴会がスタートした。

 

「それにしてもミレリアがまさかあんな格好になってるなんて思わなかったわ。」

 

「ちょっと!言わなくていいから!!

 それに、なんで炎を纏ってたのに見えたのよ!」

 

 人に見られない為に炎を纏ったのに、何故直ぐにわかったのか不思議だ。

 と言うか恥ずかしいことこの上ない。


「私を誰だと思ってるの?

 炎じゃ私の目は誤魔化せないわよ。」

 

 ただの理不尽だった。

 

「あんな格好ってどんな格好?」

 

 ヴェラがニヤニヤしながら食いついてきた。

 

「気にしなくていいから!」

 

「実はね・・・。」

 

「リューネ、お酒を全て没収するわよ?」

 

 ペラペラと喋り出しそなリューネを睨みつける。

 

「わかったわよ。

 ケチね、それくらい良いじゃない。」

 

「気になるんですけどー。」

 

 それから他愛の無い話をいくらか続け、とうとう料理が運ばれてきた。

 

「でっか!」

 

 玉子ライスは正しくオムライスだった。

 トロトロの半熟玉子であって見た目から美味しそう、だがデカイ。

 卵かけご飯は、まんまだったがこれもデカイ。

 玉子の黄身が拳よりも大きかった。

 

「それじゃ、頂きます。」

 

 お互いにそれぞれシェアしながらつついて食べた。

 オムライスはスパイスが効いており想像と少し違う味だったが、それでも十分美味しかった。

 

「いやー食べたわぁ。お腹いっぱい。」

 

 やっぱり食べるって大事だと思う。

 食べなくても平気なんだけど、この幸福感は食べないと味わえない。

 

「シャルもよくあんなに沢山食べきれたわね。」

 

 シャルは特段オムライスをペロリと平らげていた。

 この小さな身体のどこにそれほど蓄えることが出来るのだろう?

 

「へへへ。美味しかった。」

 

 なんとも言えないほのぼのとした時間だ。

 平和って素晴らしい。

 

「いらっしゃいませ」

 

 昼もだいぶ過ぎたころ、皇宮の兵士が店に入ってきた。

 兵士は店に入ると此方を見て歩み寄ってくる。

 

「ミレリア殿とそのご一行で間違いないだろうか?」

 

「そうですけど。」

 

 一体何用だろう?

 

「聖王様より皇宮への案内を申しつかりました。

 この度の一件についてお礼をさせていただきたいとの事です。

 皇宮までご足労願えませんでしょうか。」

 

 今回の件とはダルフの事だろうが、聖王自ら礼をする様な事だったんだろうか?

 そもそも協会も動いていたし、そこまでの事のようには思えなかったのだけど。

 

「わかりました。断る理由も無いですし、お伺いします。」

 

 何が待っているのかわからないが、とりあえず行ってみますか。

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