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40話 戦闘スタイル

 装備品を売っていると言うお店に到着し、換金所の時と同様にガネットが先に店へと入って取次をしてくれた。

 リューネはちょっと散歩してくると言って、どこかへ出かけて行ってしまった。


 

「先に言っとくが、客は自分の目で見極める。

 どんな客だろうが俺が売りたくねぇ奴には売らねぇからな。」

 

 装備屋の親父さんが良く通る声で怒鳴るように話している。

 

「すみません、条件にあう店で一番腕がいいのはこの店でして・・・。

 気に入らなければ他の店もご案内いたしますので、まずは物を見てください。」

 

 ガネットが近づいてきて小声で喋る。

 装備関係の店で頑固な親父さんって、鉄板ネタも良いところだ。

 折角案内してもらった店だ、幸運を使ってでも購入させてもらう。


 こんな態度を取られると、逆に買ってやろうと言う気にすらなった。

 やっぱり自分でも捻くれてると思う。

 

「私とこの二人にも扱えそうな武器を探しています。

 あと、防具も見せていただきたくて。」

 

 親父さんは私たち三人を順ぐりと眺めた。

 

「俺は武器専門だ、防具は娘が担当してるが今は出払っていてな。

 まず武器を見てやる。とりあえず今使ってる武器を見せてみろ。」

 

 私たちはそれぞれの武器を親父さんの前に並べた。

 親父さんはそれを手に取って熟視する。

 

「なるほどな・・・・・お前もか・・・・・・なるほど・・・・・。」

  

 武器を順々に手に取りながら、ブツブツと独り言を言っている。

 一通り三つの武器を見終わると、親父さんは溜息を吐いて私を見た。

 

「嬢ちゃんはダメだ、剣は売れねぇな。」

 

「えっ?なんでですか!?」

 

 予想していなかった答えに愕然とする。


 幸運使ってたのに!?

 

「嬢ちゃんはこの短剣を、武器として使ってねぇだろ。」

 

 武器として使ってない?

 いや、間違いなく武器として使っているが・・・。


「武器として使ってますよ!」

 

 私の答えに間髪入れずに親父さんは続ける。

 

「じゃあ聞くが、この刃を敵に当てたことがあるか?刃を直接だぞ?」

 

 何のことを言っているんだろうか?

 剣なのだから刃を当てるのは当たり前だろう。

 私が質問の意味を理解できずに悩んでいると、親父さんはまた溜息を吐いた。

 

「意味を理解していないから教えてやる、お前は魔法か何かをこの短剣に纏わせて使ってるだろ。

 それも刃が敵に触れないほど強力なものだ。」

 

 その言葉を聞いてようやく意味を理解した。

 私は基本的に魔法で戦っている。

 短剣も使用することはあるが、レイルの様に魔法を纏わせて戦っているのだ。

 レイルの魔法は【焔】と言ったが、私の場合は各属性の【属性付与】(エンチャント)だった。

 使った回数自体は少ないが、【属性付与・炎】(フレイムエンチャント)をメインで使用していた。

 

 威力が強すぎて、剣先が魔物に近づくと熱だけで焼き切っていたので、確かに刃が触れることは無かったと思う。

 

「そう言われると、確かにそうかも・・・。

 でも、何でそんなことがわかるんですか?」

 

 武器を見ただけでそんなことが分かるのだろうか?

 

「何で分かるかなんて今はどうでもいいんだよ!

 そんな戦い方じゃあ武器が可哀想ってもんだ。

 そこらで売ってる武器でも代用が効くだろ。

 俺が剣を売る必要はねぇよ。」


 親父さんは短剣を持ち上げてそれを見つめながら答えた。

 

 う、言い返す言葉がないわ。

 確かに私が良い剣を使う必要性を今のところ感じられない・・・。

 でも、武器の声が聞こえるって何なの?エスパー?


「そう言われちゃうと、反論できないわ・・・。

 でも・・・私が欲しいのは剣じゃないのよね!」

 

 そう、私が考えていた武器は剣ではない。

 

「ほう、なら何が欲しいんだ?槍や斧でも使い方が一緒なら売らねぇぞ?」

 

 親父さんは腕を組み眉を顰める。

 

「欲しいものは二種類、チャクラムと軽くて頑丈な鉄球。

 この二つよ!」

 

 そう、私が考えたのは投擲武器だ。

 悔しいがこの親父さんの言う通り、剣は無くても問題ないのだ。

 何なら道端に落ちてる木の枝でも似たようなことは出来る。

 

「チャクラムだ?メインの武器として使うもんじゃねぇぞ。

 それに鉄球ってのはどう言うことだ?」

 

「どう使うのかを見てもらいたいけど、どうかしら?」

 

 親父さんは私を見て考えている。

 私も目を逸らさない。

 

「わかった。剣を売らねえとは言ったが、実力を確かめねぇとは言ってない。

 着いて来い、丁度いい場所がある。」

 

 そう言って、親父さんは機微を返して歩き始めた。

 

「早く着いて来い!」

 

 私たちは慌てて後を追いかけた。

 

「レイルの武器が後回しになっちゃってごめんね,」

 

 歩きながらレイルに誤った。

 

「いいよ、順番が違うだけで掛かる時間は変わらないって。」

  

 レイルは特に気にしていないようで安心した。


 店の奥を通って裏口から外へ出ると、そこは二十メートル四方の部屋になっていた。

 足元には土が引かれており綺麗に均されている。

 

「よし、ここで待ってろ。」

 

 親父さんはそう言って、部屋の奥に一体の藁で出来た人形を置いた。

 

「ここは作った武器を試すための部屋だ。

 お前が言ったチャクラムもいくつか作っている。

 そこの棚に試作品があるから、好きなものを使ってみろ。」

 

 親父さんが指差した先には大きめの棚が二つあり、その横の壁には剣や斧などが掛けられていた。

 

 私は棚を開き、いくつか並べられていたチャクラムの中から一つ選んだ。

 

 チャクラムとは、円形に鍛えられた金属の中央に穴が開いており、その外側が鋭利な刃になっている投擲武器の一種だ。

 日本では忍者が使ったとされ、円月輪とも呼ばれている。

 

 私が選んだものは、輪の一部に持ち手が付いているもので、直結が40センチ程度の大きめなものだ。

 投擲武器なだけあってかなり軽い。

 

「おじさん、私のイメージよりも軽すぎるわ」

 

 その言葉に親父さんは怒鳴り声を上げる。

 

「軽すぎるだと?それより重いものだとまともに投げる事すらできねぇよ!?

 大体チャクラムなんて、事戦闘においてはまったく使い物になんてならねぇ。

 殺傷能力が低い上に、投げたらそのままで使い捨てになっちまう可能性の高いもんだぞ!」

 

「まぁ、普通に使ったらそうだと思うけど・・・。

 もし私に売ってもいいと思ったら、合う物を作ってね?」

 

 そう言って、私はその場からチャクラムを人形目掛けて力一杯投げつけた。


 こっそり【身体強化・強】(ハイブースト)と併用して【斬撃強化】(スラッシュブースト)、更には幸運を使用している。

 投げたチャクラムは高速で弧を描く様に飛翔して、そのまま人形の首元を掠めて切り裂いた。

 そして私の手に引き込まれる様に戻ってくる。

 

 パシッ!という音と共に、私の手にチャクラムが戻ってきた。

 それから少し遅れて、人形の首が根元に残った小量の藁を引きちぎる様に床に落ちて転がる。


 想像通りに上手くいったわ!


 手に戻った原理は簡単だ。

 私の魔力を武器に付与し、その魔力に闇魔法の【結合】(リンク)を使って私との繋がりを作る。

 そしてダグリーが核石を集めた時に使った魔法から、更にイメージを膨らまして作りあげた新しい魔法【運命の糸】(レッドストリング)を発現。

 この魔法は私の意思で伸縮する魔力の糸を作るものだ。

 これにより、軌道をコントロールして手元に引き寄せた。

 握り部が手に戻るのは幸運のお陰である。


「これを実践レベルまで引き上げたいの、私に合う物を作ってくれないかしら?」

 

 親父さんが目を見開いて、ポカンと口を開け驚愕している。

 

 よし!予想通り度肝を抜いてやったわ!

 これで気持ちもスッキリしたわね!!

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