30話 皆んなのステータス
消えた核石に驚いてシャルを見る。
「シャル、貴方今何をしたの!?」
間違いなく、手に持つ核石はシャルに溶け込む様に消えていった。
何がどうなってるの?
「ワタシもよくわからないんだけど、なんとなく出来る様な気がして・・・。
多分、核石の力を取り込んめたんだと思う。」
核石のチカラを取り込む?
それによく分からないってどう言う事だ?
私が頭を抱えていると、丁度周囲の確認を終えたリューネが帰ってきた。
「周囲の魔物は片付けたわよ。あんまり居なかったわ。
・・・あら、どうしたの?」
「シャルロッテが核石を取り込んだの・・・本人はよく分からないって言ってるけど、溶ける様に消えていったのよ。」
上手く説明出来ない私を見てリューネは不思議そうな顔をしている、レイルも何事かと近づいてきた。
「核石を取り込んだ・・・ね。
あぁ、何となく分かったわ。
そっか、シャルも出来るのね。」
流石はリューネ、物知りだ。
説明してもらおう。
「どう言う事?」
「そもそも核石って、何で出来てると思う?」
む、質問に質問で返すとは・・・
「ん〜、核石って魔物を倒した時に出るわよね、核って言うくらいだから魔物の核みたいなもの?」
「そうね、正確には魔物のエネルギーが結晶化したものよ。
だから、取り込む事で力を吸収する様な効果はあるの。
そしてそれを取り込んで、自分のエネルギーに換える事が出来る者もいる。
特にフォクシズ種はそういった者が多かったはずよ。
シャルはおそらく本能的に実行したのね。」
ふむふむ、だから自覚は無いが意味を理解していた訳か。
それに力を吸収すると言う事は・・・
「じゃあ、核石を沢山吸収すればシャルは強くなるって事?」
私の問いにリューネが少し考える。
「確かにその通りなのだけど、あまり大量に吸収するのはオススメしないわね。理由は、核石の元が魔物だから。」
やはりシャルを強化するには有効の様だ。
しかし沢山吸収しない方がいいと言う理由は良くわからない。
「核石の元が魔物だと、何が問題なの?」
「それは魔物が発生する為に必要なエネルギーが原因なの。
魔物は世界に充満する負のエネルギーを糧として発生しているわ、悪魔なんかも同じよ。
逆に正のエネルギーは精霊を形作っているの。
正のエネルギーは悪影響を与える事はないのだけど、負のエネルギーは違う。
個人のキャパシティを超える量の負のエネルギーを保有すれば、少なくともまともな人格を保ってはいられないわ。」
更にリューネから補足してもらったが、精霊をその身に宿せば負のエネルギーを保有出来るキャパシティを底上げできるそうだ。
つまりこう言う事、シャルが10個の核石を保有できる魂を持っていれば、自分を保っていられる核石の量は10個まで。
精霊は正のエネルギーを持つので、核石の負のエネルギーを相殺してくれる。
核石10個分の力を持つ精霊を宿していれば更に核石を10個まで保有できる。
つまり、20個の核石を吸収できると言う事だ。
「核石と言っても、強い魔物は相応のエネルギーを持っているわ。だから無闇に取り込みすぎない様に気をつけてね。
とりあえず、一度精霊と再契約をした方がいいと思うわ。
シャル、精霊と契約したのはいつ?」
シャルは思い出しながら答える。
「えっと、七歳くらいだったと思う。」
七歳と言うと四年前か、案外新しく契約も出来るかもしれない。
強い精霊と契約できれば、その分力も増えるし核石を取り込める容量も増える。
シャルにとってはいい事尽くめだ。
「いい機会だから、ミレリアにも手伝ってもらって契約をしてみるといいわ。」
こうして、シャルは新たに契約の儀式を行った。
私の魔力と幸運を併用したことで、二体の精霊と契約ができた。
どちらも下級ではあるが木と風の最上位精霊だった。
『ははは、初めまして!風の精霊のフウと申します!』
風の精霊は眼鏡をかけた女の子だった。
見るからにドジっ子のオーラを放っている。
『オラは木の精霊のドブルってんだ、よろしく頼むんだな。』
木の精霊はぽっちゃり系で田舎っぽい口調の男の子。
肉まんのようなほっぺたが特徴的だ。
精霊がどれだけのエネルギーを持っているかは階級によって変わってくるが、核石を保有できる量は少なくとも下級最上位精霊二体分増えたことになる。
数値で見た値は、習得魔法のステータス欄で確認できる。
おおよその目安はこうだ。
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下級下位 250
中級下位 500
上級下位 750
下級中位 1000
中級中位 1500
上級中位 2000
下級上位 2500
中級上位 5000
上級上位 10000
下級最上位 20000
中級最上位 40000
上級最上位 80000
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シャルは今回の契約で、ステータス換算値で総合が四万は増えているはずだ。
その分の核石保有量も増えている。
しかし、リューネの言う通りに慎重に行っていこう。
これからはどれだけの核石を取り込んだのか確認していく必要もあるのだが、方法はあるのだろうか?
「あ、シャル。せっかくだしステータスを確認しておかない?」
そう思ってお気に入りのポーチから水晶玉を取り出し、シャルに手渡した。
使い方を説明し、シャルがステータスを確認する。
シャルは見たステータスをそのまま地面に書いてくれた。
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(シャルロッテ=ロズウェルド)
年齢:11歳
性別:女
クラス:C
レベル:12
体力:833
精神力:1241
魔力:24607
攻撃力:435
防御力:114
習得魔法:木(20,000)、風(21,000)、魔(3)
総合:68,233
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称号やスキルは無かったそうだ。
習得魔法に魔という物がある、数値の低さを考えるとこれが核石から取り込んだ力なのかも知れない。
しかし、精霊と契約したお陰かクラスが物凄く高い。
すでにレイルを超えているわね。
亜人の中でも強い種族ってのも伊達じゃない。
それを見てレイルも水晶を貸して欲しいと申し出た。
「俺だってフィレルと毎日稽古をしてるんだ、少しくらいは強くなってるはずだ!」
水晶を確認し、レイルもステータスを地面に書き写した。
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(レイル=テイラー)
年齢:20歳
性別:男
クラス:D
レベル:38
称号:
体力:2860
精神力:2544
魔力:6860
攻撃力:1549
防御力:892
習得魔法:火(6,430)
スキル:ソードアーツ(4300)、
潜在スキル:闘志(4000)、
総合:29,435
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前回聞いた時にはクラスEだったはずなので、レイルもしっかりと強くなっている。
ただ、契約した精霊の違いでシャルとは大きくクラスが異なっていた。
まぁ、クラスが全てではないのだけど、本人はショックを受けているようだ。
その他のステータスはレイルが最も高いのだから、これからの伸びに期待したい。
シャルとまで差をつけられて、少し肩を落としていたレイルを励ました後、私達はお預けにしていた食事にありついた。
今日のメニューはシチューだった。
レイルは料理の腕もなかなかの物で、少しばかり見直した。




