26話 純白のワンピース
書き進んで来たので繰り上げ投稿です!
夜も投稿する予定です。
シャルロッテは私とリューネを見渡し、恐る恐る口を開く。
「ホントに、何もしない?」
「えぇ、貴方が今までどんな人に出会ってきたかわからないけど、少なくとも私たちは貴方を外見で判断するような事はしないわ。」
リューネがシャルロッテを落ち着かせるように話をする。
こんな小さな子がこれ程怯えるなんて、一体何があったのだろうか。
私のよく知る前世で作られた話で亜人や獣人が出てくるものは、その姿の違いから迫害を受けたりするような話が多い。
元々数の少ない種族というものは、大抵奴隷にされたり忌み嫌われたりしているイメージがある。
この世界でも、そうなってしまっているのだろうか。
「わかった。」
シャルロッテは恐る恐るニット帽をとり、服を脱いだ。
亜人というだけあって頭にはちょこんと二つの耳が立っており、お尻の少し上あたりから長い尻尾も付いている。
耳や尻尾はまるで狐の様だった。
なんていうか、
「萌えカワ!」
はっ!つい言葉に出てしまった。
いやいやだって可愛すぎでしょ。
翡翠色の髪の毛からこんな耳が出てるなんて反則よ。
「もえかわ?」
不思議そうにリューネが見つめてくる。
「あぁ、いや。可愛いなと思って。とにかく、身体を洗いましょう!」
誤魔化しつつ魔法を使って身体を洗う。
髪に付いた汚れが固まっているので、持ってきた石鹸を使って綺麗に洗った。
お風呂に浸からせて、身体を拭いて魔法で髪を乾かす。
そして買ってきた服の内一着を【時空収納・箱】から取り出して着せた。
普通の服を買ってきてしまったので、尻尾を出す為の穴を開けるのを忘れてはいない。
こんなこともあろうかと、裁縫セットはちゃんと持っているのだ。
買ってきたのは純白のワンピース!
丈の長さは七分の物を準備してみました。
好みの問題もあるので、上下別々の動きやすい服とズボンも準備していたのだが、是非こっちを着て欲しかった。
ワンピースを着て、シャルロッテがモジモジと此方を見た。
「この服可愛すぎないかな...?似合わないんじゃないかな...?」
そんな初々しい姿を見てしまうと...。
「こんな所に天使が!?」
思わず抱きついてしまった。
いやー、この子は反則級の可愛さだわ。
どうやったらこんな子が出来るのか知りたいものだ。
なんて事を考えていたらリューネに引き剥がされてしまった。
「ちょっとミレリア、可愛いのはよくわかるけどシャルロッテが困ってるじゃない。」
ちぇ、と私はブー垂れながら渋々離れる。
「まぁ、これで身支度もできた事だし、お風呂場も片付けましょう。」
私は作ったお風呂場を元の地面に戻した。
「お、綺麗になったじゃないか。って、その子亜人だったのか?初めて見たよ。」
待っていたレイルは驚いた様だが、シャルロッテに対して亜人を嫌っている様子は見られなかった。
だが、レイルを見たシャルロッテは私の後ろへと隠れる。
「大丈夫、彼も何もしないから。もしなんかやっても、私が怒ってあげるから大丈夫よ。」
シャルロッテを安心させる様に話しかける。
すると私の陰から少し顔を覗かせて、レイルを見た。
レイルも笑顔で手を振って応えた。
まぁ、レイルならすぐに打ち解けてくれるだろう。
『あら、フォクシズの女の子じゃないですか。』
呼んでもないのに急にリーフが現れた。
フォクシズ?この子の種族の名前だろうか?
キツネっぽい名前だし。
『シルフィー、フォクシズの子がいますよ。』
リーフの呼びかけにシルフィーも姿を現した。
『ホントだ・・・・・・。』
シルフィーは相変わらず眠たそうだけど、なんだか興味を持ってそうだ。
シャルロッテは二人を見てまた私に隠れた。
あれ?
「シャルロッテ、もしかしてこの子達のこと見えるの?」
人間には普通見えないはずなのだが、亜人は別物なのだろうか?
「うん。」
シャルロッテは小さな声で頷いた。
「なるほど、フォクシズ種だったのね。大丈夫、ここには貴方を嫌う他の亜人たちはいないわ。」
リューネが理解した様に話す。
「どういう事?」
私は全く事情が飲み込めないので、リューネから詳しい話を聞いた。
どうやら私が勘ぐっていた人間からの迫害などはこの世界では無いそうだ。
だが、亜人同士の迫害が存在するらしい。
シャルロッテと同じフォクシズ種は、数が少ないが強い力を持っている。
不思議な技を有していて精霊とも親しい仲で、特に風と木の精霊との繋がりが強い。
精霊が見えるのも、リーフやシルフィーが興味を持ったのもこの為だろう。
その昔、力を持っていたフォクシズ種が亜人族の頂点に立とうと亜人間の戦争を起こしたことがあるらしい。
フォクシズ種は力こそ強力だったが、その数の少なさが災いして敗北を期した。
その事が切欠で、生き延びたフォクシズ種達は他の種族から災いを呼ぶ者として迫害されてきたそうだ。
それを聞いて、リューネの先程の言葉の意味も理解できた。
こんな小さな子供がどれだけの仕打ちを受けたかわからないが、実際この子は一人で魔物に襲われていた。
それもこんな場所で。
この子の事情を聞いてみないと何とも言えないが、事と次第によっては干渉せずにはいられない。
元々それが私の旅の目的なのだから。
一度心を落ち着かせて、シャルロッテと話をする事にした。
話を聞いて、今後の彼女の事を考えよう。
「シャルロッテ、貴方に何があったのか教えてくれないかしら?私は貴方の力になりたいの。」
シャルロッテの前にしゃがみ込んで、目を見つめて問いかける。
シャルロッテは目線を下へと逸らし、考え込んでから口を開いた。
「あのね、ワタシはテグナムの村から少し離れた町で生まれたの。
お父さんが、その町で悪い人に殺されちゃって。
ワタシとお母さんは一年前に町から逃げてきたの。
テグナムで暮らしてたんだけど、お母さんもこの前病気で死んじゃってね。
一人で寂しかったけど、周りのみんなが親切にしてくれたから、頑張って暮らしてたの。
亜人はワタシだけだったんだけど、みんな優しかったの。
でも、昨日の夕方に町から来たウルフィ種の人に追いかけられて・・・村の人達が庇ってくれたけど。
すっごく強い人で、みんなが怪我をしちゃった。
だから・・・ワタシはみんなから、村から逃げてきたの。」
そこまで言うと、シャルロッテは泣き出した。
私は胸が張り裂けんばかりに、締め付けられる様な痛みを覚えた。
「辛かったね・・・。
苦しかったよね・・・。」
シャルロッテを強く抱きしめる。
同時に父が拐われた時の様な、どうしようもない怒りが込み上げてきた。
「絶対、私が守ってあげる。」




