表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/64

24話 名付け

 レイルが初めて契約を交わした火の精霊は、無邪気にフレイアとレイルの周りを行ったり来たりと、飛び回っていた。

 

「フィルー」

 

 可愛い。

 

「フレイア、その子ってどの位の力を持ってるの?」

 

 精霊にも階級がある、下位・中位・上位・最上位とあり、更にその中に下級〜上級まで分類される。

 私の契約した精霊達は、上級最上位精霊だった。

 それが八人いるんだから、そりゃぁその恩恵も物凄いわよね。

 最上位の中で最も力を持つ精霊が、王として世界に君臨するのだ。

 自我を持つのは確か下級上位精霊からだったと思うが、この子もそうだろうか?

 

「この子はまだ自我が芽生えたばかりで、力としては下級上位精霊になると思う。」

 

 自我を持つ中では一番弱い精霊なのね。

 一般常識で考えれば十分に強いと思うけど。

 

「そっか、上位精霊だってさ、よかったねレイル!」

 

 ふとレイルを見ると、ふるふると震えている。

 ん?トイレでも我慢してるんだろうか?

 

「レイル?」

 

 私が再び声を掛けるとレイルが向き直って目を輝かせた。


「ありがとうミレリア、精霊と話が出来るだけでも夢の様なのに、俺まで上位精霊と契約が出来るなんて!

 ミレリアのおかげだ。これで俺ももっと強くなるよ!」


 私の手を取って感謝の意を現した。

 あれ?レイルってこんなに暑苦しい感じだったっけ?

 でも喜んでくれたみたいだ。

 ふとそこで一つ気付く。


「そういえば、その子の名前って?」

 

 フレイアの方に目をやるが、彼女は首を傾げながら赤ちゃん精霊の方を見つめた。

 

「フィルー!」

 

 赤ちゃん精霊は自由に飛び回っている。

 

「まだ生まれたてで、自分でも意識した名前は持ち合わせてないみたいです。」

 

「そっか、なら呼びやすい名前を考えてあげなきゃね。」


 当の本人はこの名を付けてとばかりに"フィルー"と言いながら飛び回っている。

 私、実は少し捻くれ者なのよね。

 だから、その名は付けないわ。

 

「フィルーって叫んでるけど、敢えてその名はやめましょう。レイルと契約した子だから、フィレイル・・・・フィレルでどうかしら?」

 

 周りから"そこはフィルでいいでしょ"なんて言葉が聞こえてきたが、そんな事は関係ない。

 安直すぎるのは嫌いなのよ。

 

「フィルー。」

 

 赤ちゃん精霊も案外気に入ってそうだ。

 レイルもなんだか子供のようにはしゃいでいる。

 

「この子も嫌がってないし、今日からフィレルよ!」

 

 私がそう言うと、フィレルが強く光り始めた。

 光りが弱まると、フィレルが少し大きくなっていた。

 見た目は人間で言う2、3歳くらいまで大きくなったんじゃなかろうか?

 

「名前をつけたことによって、自我が確立されて成長したみたいですね。中級上位精霊くらいまで力も上がっているようです。」

 

「フィルー!」


 おお!すごいな。

 フィレルはまだ喋れないみたいだけど、レイルの戦力は一気に上がった気がする。

 魔法が使える様になったことで、戦略も幅が広がるはずだ。

 

「おぉ!凄いよミレリア!フィレル、宜しくな!」

 

 レイルは興奮気味だ。

 

 こうして、新しくフィレルを加えて私たちは歩みを進める事になった。

 レイルに魔法の使い方を簡単に教えて試してみたが、火を灯す程度のことはすぐに出来た。

 あまり大規模な魔法は、精霊の力も魔力も足りない為発言する事が出来なかった。

 使い方はこれからじっくりと覚えていく予定だ。

 

 そこから二時間歩き、お昼を取った。

 先程の休憩の後、レイルの荷物は【時空収納・箱】(リアルボックス)に仕舞い込んだ。

 途中、ゴブリンや狼型の魔物に出くわしたが、何ら脅威になる事はなかった。

 もちろん核石はしっかりと回収しておいた。

 

 お昼は作り置きしておいたおにぎりと野菜スープを取り出した。

 スープは火を起こして温め直し、おにぎりはいくつか焼きおにぎりにして食べた。

 最初の一日くらいはと夜までの食べ物は作ってきたのだ。

 

 それらを食べ終えて、食後の休憩をする。

 一時間ほどしたら出発する予定だ。

 休憩中に魔物に襲われては洒落にならないので、半径三十メートルほどに渡って魔法結界を張ることを忘れない。

 結界は光魔法【光ノ警鐘】(ライトフィールド)を使ったり

 魔物の侵入を知らせてくれる程度のものだ。

 あまり効果の強いものを使っていると、回復量を上回って魔力を消費する為休憩する意味がないのである。

 もちろん最初にライトブルに襲われてからは移動中も使用している。

 

 

 

 結局、休憩中に魔物が侵入してくる事は無かった。

 ゆっくり休憩できた事だし、そろそろ先へ進みますか。

 ふと二人を視線で探すと、それぞれ何かやっている様だった。

 レイルはどうやら魔法の練習をしている様だ。


 うん、向上心があるのは素晴らしい事だと思うけど、休む時にはきっちり休みなさいよ。

 あとで疲れても自業自得だからね?

 リューネはと言うと、こちらに背を向けて・・・

 

「って、何で酒飲んでんのよ!?」

 

 リューネは事もあろうに昼間から一升瓶とグラスを片手に酒を飲んでいた。

 

「ん?いいじゃない、だって休憩でしょ?」

 

 そんな物まで隠し持って来ていたなんて、自由だなぁ。

 まぁ、リューネが良いならいいや。

 ちゃんと歩いてくれるなら。


「はぁ。休憩終わり、それは仕舞って出発するわよ。

 レイルも出発するわよー。」

 



 

 先が思いやられる。

 リューネはほろ酔いの浮かれ気分と言った感じで歩いているが、レイルは案の定お昼前より疲れている様子だった。

 ホント、周りのこともしっかりと考えて欲しい。

 でもそんな事で移動速度を抑えるつもりはない。

 さっきも言ったが、自業自得なのだから。

 

 その日はもう一度休憩を挟んでから歩みを進めて、夕方になる前に野宿する場所を決めた。

 途中で川を発見し、それに沿って進んで行くと広い河原があったのでそこで野宿をする事にしたのだ。

 【時空飛翔】(ゲート)を使って家に戻ってもいいのだが、せっかくの冒険初日にそんな無粋な事はしたく無かったし、朝大袈裟に旅立った手前少し気が引けた。

 地の魔法でかまくらのような家を作り、簡易宿としたのだ。

 寝床用とお風呂の二つを作り、石で出来た浴槽に魔法でお湯を張って汗を流した。

 普通の旅では考えられないような贅沢だが、力は使うためにあるのだからしっかりと活用する。

 

 食事を食べたあと、私は歩き疲れたのもあり直ぐに就寝した。

 暖かいベットはないが、安心して眠るには十分な環境だった。

 今度家の別を収納魔法で持ってこれないか試してみよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ